[13日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は13日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済が5月半ばから7月半ばにかけ、控えめなペースで拡大したという認識を示した。
この日発表された米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で9.1%上がり、上昇率は40年7カ月ぶりの大きさとなった。FRBは高インフレの抑制に苦慮している。
FRBの積極的な利上げは需要抑制を目指しているが、景気後退の懸念も高まっている。そのような中でFRBは経済状況に関する最新の調査報告を発表した。FRBの政策立案者は、経済見通しの分析にあたり、全米の企業調査先の意見を聴取している。
報告書は7月13日までに12地区連銀が全国の調査先企業から受けた報告に基づいて作成した。
報告書は「複数の地区が需要減速の兆候が強まっていると報告した。さらに5地区の情報筋からは、景気後退リスク増大を巡る懸念が示された」とした。
今回の調査では、大部分の地区で食品やガソリン価格の上昇で家計の可処分所得が減少し、個人消費が減ったと報告された。
一方で、大部分の地区の企業は価格決定力が安定していると報告。例えばニューヨーク連銀の管轄区では、企業は引き続き販売価格の上昇加速の広がりを指摘しており、過半数の企業が今後数カ月で一段の値上げを計画しているという。
労働市場も依然として厳しく、3分の1の地区が、インフレ関連コストを相殺するために雇用主が従業員へのボーナス支給を検討、または支給したと報告した。
半面、ほぼ全ての地区において、特に製造業と建設業で労働力需要が弱まり、労働力の確保が緩やかに改善したという。
賃金上昇は大部分の地区で続いた。
<成長鈍化も物価抑制は限定的>
経済活動の減速傾向の進展は多くの地区で見られたが、ニューヨーク連銀の管轄区が最も顕著だった。報告書では「経済成長はゆっくりと減速した」とし、人員不足や供給問題、新型コロナウイルス感染者数の地域的増加などにより、企業・家計からの需要が弱まっていると指摘した。
しかし、旅行や接客業などの企業は顧客に価格を転嫁できたという。
こうした中、全ての地区で大幅な物価上昇が報告され「大部分の調査先が、少なくとも年内は価格上昇圧力が続くと予想している」と指摘した。
全ての地区で大幅な価格上昇が報告されたが、4分の3の地区は木材や鋼材などの建設資材価格が落ち着いてきたと指摘した。
前回報告と同様に、将来の経済成長に対する見通しはおおむね悲観的で、調査先は今後半年から1年にかけて需要がさらに弱まるとの予想が示された。
住宅需要は著しく弱まり、在庫がやや増えて価格上昇がより緩やかになったほか、大部分の地区で新車の在庫水準が引き続き低く、販売台数が低迷。一方、接客業や観光業の調査先の一部は、ビジネスや団体旅行の増加を指摘した。