[マニラ 21日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)は21日、アジア開発途上国の今年の経済成長率見通しを4月時点の5.2%から4.6%に下方修正した。ロシアによるウクライナでの戦争やインフレ抑制に向けた世界的な金融引き締めによる影響を反映した。
新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)長期化で中国経済が予想以上に減速したことも見通し下方修正の要因となった。アジア開発途上国には中国、インドなどが含まれる。
2022年の見通し下方修正は3回目。ADBは「アジア開発途上国の経済見通しに対するリスクは依然として高く、主に外部要因に関連している」と指摘。世界経済の大幅な減速や米連邦準備理事会(FRB)の積極的な引き締め、コモディティー(商品)価格高騰などに言及した。
23年の成長率予想は5.3%から5.2%に小幅に引き下げた。
「(中国の)一連のロックダウンによるサプライチェーン(供給網)への影響長期化の可能性や中国の成長鈍化によりアジア途上国経済の下振れリスクが生じ、成長の勢いが損なわれる可能性がある」とした。
中国の成長率については今年4.0%になると予想し、4月時点5.0%から引き下げた。23年には4.8%を見込んでいる。
域内の見通しにはばらつきがあり、東南アジア、中央アジア、太平洋諸国では当初の予想よりも高い成長率が見込まれる一方、南アジアではスリランカの経済危機やインドの高インフレを背景に成長ぺースの鈍化が予想されている。
今年の南アジア成長率見通しは7.0%から6.5%に下方修正。23年は7.4%から7.1%に引き下げた。
インフレ見通しは今年が4.2%、来年が3.5%と、前回の3.7%、3.1%からそれぞれ上方修正した。
ただ、ADBは「この地域のインフレ圧力は世界の他の地域よりも小さい」としている。