[コロンボ 1日 ロイター] - 経済危機に陥っているスリランカは、国際通貨基金(IMF)から約29億ドルの金融支援を受けることで暫定合意した。IMFが1日、発表した。
IMFは「マクロ経済の安定と債務の持続可能性を回復することが目的」と説明。拡大信用供与(EFF)の枠組みによる融資で、期間は48カ月間。
IMFは、スリランカの債務の持続可能性を確保し、資金調達力の差を解消するには、債権者による債務減免と他の多国間機関からの追加支援が必要になるとした。
スリランカはIMFに最大30億ドルの融資を求めていた。
今後、IMF理事会の承認が必要になる。スリランカ政府がすでに合意した措置を履行することが条件。
<緊縮財政、人員削減も>
IMFのプログラムでは、財政健全化に向けた歳入の拡大、燃料・電力の新料金導入、社会保障費の拡大、中央銀行の独立性強化、外貨準備の再建を目指す。
「(スリランカの)歳入は世界で最も少ない部類に入る。プログラムでは大規模な税制改革を実施する。改革には個人所得税の累進性強化、法人所得税と付加価値税の課税対象拡大が含まれる」としている。
プログラムでは2024年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を国内総生産(GDP)比2.3%とすることを目指す。
スリランカの投資銀行CALグループのチーフストラテジストは「IMFは、スリランカがこれまでに講じた歳入措置を大規模だと評価しており、財政面では満足しているようだ」と指摘。
最貧困層向けの福祉予算は保護されるが、大幅な緊縮財政措置と赤字国営企業の人員削減が予想されるとし、「来年までに民営化が実施されるだろう」と述べた。
<債権者の協力が必要に>
IMF高官はコロンボで記者団に「今回のスタッフレベルの合意は、スリランカが危機から脱する長い道のりの起点にすぎない」とした上で「当局はすでに改革のプロセスを開始している。この道を決意をもって進むことが重要だ」と述べた。
IMFの支援策が承認されれば、他の多国間債権者から追加の金融支援を受けられる可能性が高まる。
スリランカ株式市場は2%高で取引を終えた。
IMF高官は、スリランカ政府が包括的で大規模な改革に意欲を示していると指摘。政府が真剣に改革に取り組むことを債権者に示す形となったと述べた。
同国は300億ドル近い債務を再編する必要があり、日本政府が、インド、中国など主要債権国との協議を主導することを提案している。
スリランカは国債がデフォルト(債務不履行)に陥っており、国債190億ドルの大半を保有する海外の金融機関・資産運用会社との交渉も進める必要がある。