[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が9日発表した8月の人民元建て新規融資は1兆2500億元(1806億3000万ドル)で7月から増加したものの、アナリストの予想には届かなかった。
人民銀が需要喚起に取り組む一方で、新型コロナウイルスの感染再拡大や不動産危機の深刻化が経済を圧迫している。
アナリスト予想は7月(6790億元)の2倍以上の1兆4800億元。前年同月は1兆2200億元だった。
住宅ローンなど家計向け融資は4580億元で7月の1217億元から増加した。法人向けも8750億元と前月の2877億元から大幅増となった。
しかし企業や消費者の信頼感は依然として脆弱で、信用需要はまだ弱いとアナリストは指摘している。
招商証券のアナリスト、Luo Yunfeng氏は「企業向けの中長期の融資が堅調で8月の融資データが押し上げられたが、家計向けはなお比較的弱い状況だ」と述べた。
野村証券によると、6日現在49都市で何らかのロックダウン(都市封鎖)が行われている。中国の人口の約21%、国内総生産(GDP)の約25%に相当するという。
キャピタル・エコノミクスはリポートで「短期的に信用の伸びが大きく加速する可能性はますます低くなっている」とした。
「人民銀は8月に主要政策金利を若干き下げ、量的規制も引き続き緩和されている。だが人民銀はひもを押しているようなものだ。需要が問題だ」と分析した。
マネーサプライM2の前年比伸び率は12.2%。アナリスト予想の12.1%、前月の12%を上回った。
8月末時点の人民元建て融資残高は前年比10.9%増。前月末は11%増、アナリスト予想も11%増だった。
通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す社会融資総量は8月末時点の残高が337兆2100億元で前年比10.5%増加。
8月の社会融資総量は2兆4300億元。アナリスト予想は2兆0750億元。