[ストックホルム 20日 ロイター] - スウェーデン中央銀行は20日、政策金利を0.75%から1%ポイント引き上げ1.75%とした。インフレ高進に対応し追加利上げの可能性も示唆した。
1%の利上げは、同じく1%引き上げた1992年11月以来、最大で市場の予想を上回った。ロイターが19日まとめた調査では、0.75%ポイント引き上げ予想が大勢だった。
8月のインフレ率は前年比で9.0%と30年ぶりの高水準で、中銀の予想を上回った。
中銀は声明で「インフレ率は中銀の6月の予想を上回り、年内さらに上昇すると予想する」と表明。「政策金利は今後6カ月で一段の上昇を予想する」と指摘、「現段階で政策金利をより引き上げることで、より長い目でみて高インフレのリスクが低下し、今後必要なより大幅な引き締めも同様となる」と述べた。
中銀は物価上昇が賃上げ要求に波及することを憂慮する。そうなればインフレ率を中銀の目標である2%まで下げるのが一段と難しくなるからだ。
イングベス総裁は会見で「金利が上昇すれば、多くの家計にとって金利コストが上昇する。しかし高インフレ、持続的な高インフレのコストはそれ以上だ」と述べた。
中銀が示した最新の予測では、リセッション(景気後退)入りを想定しながらも利上げを継続する意向がうかがわれる。来年の成長率はマイナス0.7%。6月予想のプラス0.7%から大幅に下方修正した。政策金利は来年2.5%程度がピークと予想、6月予想の約2%から引き上げた。
オーマン・グループの債券部門トップ、クリスチャン・フェステ氏は、政策金利のピークが中銀の予想よりも高いとみており「23年末に3.5%まで上がる可能性も排除しない」と述べた。
市場も政策金利のピークを3.5%前後とみている。
スウェーデンでは今月、総選挙で敗北したアンデション政権が退陣。野党・穏健党が組閣を担う。
新政権にとっては景気減速が喫緊の課題。対策として減税が浮上しそうだが、イングベス総裁は、財政政策は需要押し上げよりも構造改革に重点を置くのが望ましいとの認識を示した。