[ロンドン 24日 ロイター] - トラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で、リシ・スナク元財務相(42)が新党首に選出され、25日に新首相に就任する見通しとなった。対抗馬のモーダント下院院内総務が24日、撤退を表明したことを受けた。
英史上初のインド系の首相となる。エネルギーや食品価格高騰を受けた景気後退に対応し、財政への信頼回復を目指す。
英政局が混迷する中、この2カ月足らずで3人目の首相となる。
スナク氏は党首選出後の演説で、保守党議員に対し「英国が深刻な経済的課題」に直面していると強調。「安定と団結が必要で、私は保守党および国を一つにまとめることを最優先とする」と言明した。
保守党のイアン・ダンカンスミス議員らによると、スナク氏はこれに先立ち、まずは経済的安定の実現を優先し、その後2019年の保守党の選挙公約の実現に目を向けると表明。一方で、国政選挙の実施を否定したという。
スナク氏はチャールズ国王から政権樹立を要請される見通し。
英大衆紙サンの記者によると、スナク氏が議員に対し保守党の「あらゆる翼」が入閣すると話した。
モーダント氏はスナク氏を全面的に支持すると指摘。声明で「この決定は歴史的なものであり、保守党の多様性と手腕を再び示すものだ」とした。
トラス氏もツイッターで、スナク氏を「全面的に支持する」と述べた。トラス首相の報道官によると、スナク氏への引き継ぎは24日には行われず、引き継ぎのタイミングや方策を巡り協議されているという。
モーダント氏の撤退表明を受け、ポンドと英国債価格は一時的に急伸したものの、すぐに表明前の水準に戻った。ITVの記者によると、国王はロンドンに戻っており、24日遅くか25日にトラス氏の辞任を受け入れる可能性があるという。
保守党のジェイク・ベリー議長は声明で「今こそ党全体が一丸となり、スナク氏の後ろで固く団結する時だ。スナク氏はわれわれが国として直面する課題に取り組むという重要な仕事に取り掛かる」と指摘。「スナク氏に率いられ、英国民の優先事項を実現できると確信している」と述べた。
IGのシニアマーケットアナリスト、ジョシュア・マホニー氏は、スナク氏の新首相就任というニュースで市場に新たな不確実性が生じることが回避されたと指摘。その上で「中銀と政府の政策引き締めが経済に大きな打撃を与えることなくインフレを速やかに低下させることに多くの人が期待しているが、トレーダーは経済への影響が予想以上に大きく、インフレによって金利が長期的に上昇することを引き続き懸念している」と述べた。
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