[ベルン 15日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は15日、政策金利を0.5%ポイント引き上げ1.0%とした。インフレ抑制に向け、今年3回目の利上げを決定した。ジョルダン総裁は会見で、インフレ鈍化の傾向があるものの、まだ警戒を解ける状況にないとの認識を示した。
ロイターのエコノミスト調査でも0.5%利上げが予想されていた。
中銀はスイスフラン高を抑制するため、マイナス金利政策を7年にわたり取っていたが、今年に入りインフレ退治に転換。6月と9月の利上げでマイナス金利を終了していた。
15日発表した声明は「中期的な物価安定確保に向け、追加の利上げが必要になる可能性は排除できない」とし「適切な金融状況を提供するために必要応じて外為市場で行動する意向だ」とした。
「(インフレ率は)中銀が物価安定と見なすレンジをなお明確に上回っている。当面高止まりするとみられる」と指摘した。
Jサフラ・サラシンのエコノミストは「声明は、利上げ減速あるいは停止の可能性を全く示唆しておらず、市場の予想よりややタカ派的だった」と指摘。来年3月に0.5%の追加利上げを予想し、来年半ばに2%に到達すると予想した。
11月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率が前月と同じく3%だったが、中銀の物価安定目標である0─2%は引き続き上回った。
ジョルダン総裁は会見で「インフレ率は8月以降、多少低下した。歓迎すべき傾向だが、警戒を解くのは時期尚早だ」とし、「追加利上げが必要になる可能性は排除できない」と述べた。
政策金利の到達水準を示すのは控えた。「特定のターミナルレートは想定していない。四半期ごとに新たなインフレ予想をみていく。きょう発表した最新のインフレ予測では先の予測が若干上がり2.1%となった。これは、現在の金融政策スタンスが物価安定が確保されているわけでないことを示唆する」と述べた。
この日発表したインフレ率予測は、今年が2.9%で23年が2.4%、24年は1.8%に低下するものの、その後再び上昇し25年第3・四半期には2.1%と中銀の目標を再び上回ると見込んでいる。
中銀はここ数カ月、フラン支援のため外貨を売っている。総裁は「適切であれば」将来的に引き続き外貨を売却する見込みも示したが、売却規模の目標はないとした。主要政策手段は金利であり、為替市場介入の役割は二次的だと説明した。
INGのエコノミストは「予測期間の最も先の予測が2%を上回ったことは、追加利上げするという明確なシグナルだと思う」と述べ、23年3月に0.5%利上げし、その後長期間、その水準を維持すると予想した。