[ロンドン 12日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が12日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%増加し、一時予想されていた浅いリセッションは回避した。ただ3月は予想外のマイナス成長となり、回復の脆弱さを示した。
第1・四半期の前期比伸び率は昨年第4・四半期と同じで、ロイターがまとめたエコノミスト予想と一致した。
前年比伸び率は0.2%だった。
3月のGDPは前月比で0.3%縮小。エコノミストは変わらずと予想していた。工業生産や建設が伸びたものの、経済の柱であるサービスは自動車や小売り販売が低調で0.4%縮小した。
ONSは、3月の縮小はサービス業の低迷が主因とし、自動車販売、小売販売なども低調だったと指摘した。
第1・四半期は、新型コロナウイルス禍前の2019年第4・四半期比で0.5%縮小。
ONSは相次ぐストライキも下押し要因になったと説明した。
設備投資は前年比3.2%増と21年終盤以降で最低の伸び。個人消費も2年ぶりの低い伸びにとどまった。
イングランド銀行(英中央銀行)は11日、政策金利を0.25%ポイント引き上げた上で、今年の成長率予想を2月時点のマイナス0.5%からプラス0.25%に上方修正し景気後退を回避するとの見方を示していた。
フィデリティ・インターナショナルの投資部門幹部、トム・スティーブンソン氏は、経済の柱であるサービス業が借り入れコストや物価高を受けて減速し続けおり、インフレ率がなお二桁であることから「1970年代のスタグフレーションが再来した感がある」と述べた。
GDP統計を受け、ハント財務相は、競争力のある税制、労働供給、生産性に引き続き注力する必要があることを示したと述べた。
3月のGDPは、コロナ流行直前の2020年2月を0.1%上回るにとどまった。
KPMGのエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「もはやリセッションは想定されていないだろうが、借り入れコストの上昇や与信厳格化に起因する脆弱性が今年、企業や個人の活動を鈍らせる公算」と述べた。
第2・四半期は5月にチャールズ国王の戴冠式に伴う休日の影響で成長減速が見込まれる。
ONSが発表した貿易統計によると、3月の財貿易収支は163億5600万ポンドの赤字。赤字額はエコノミスト予想(175億ポンド)を下回った。
また第1・四半期の対欧州連合(EU)財貿易収支(貴金属を除く)は315億ポンド(398億ドル)の赤字で、赤字額は22年11月─1月の過去最高332億ポンドに迫った。