[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、米国が景気後退(リセッション)に突入する可能性は低いと指摘したが、一部の債券投資家はFRBがいつまで景気後退を伴わずに高金利を維持できるか神経をとがらせている。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのグローバル債券マクロ・ストラテジスト、ガープリート・ギル氏は「今回で利上げ打ち止めとなるか、市場の見方は分かれている。利上げ終了時期を巡る不透明感があるため、われわれは米金利へのエクスポージャーを限定的なものにしている」と述べた。
ゴールドマンは先に、今後1年間の景気後退の確率を20%に下方修正。バークレイズも今年第4・四半期と予想していた穏やかな景気後退が来年にずれ込むとの見方を示した。
パウエル議長は、FRBスタッフがもはや米国の景気後退を予想していないと指摘。高水準の雇用喪失なしにインフレ率が目標値に戻る可能性があると述べた。
ただ、世界最大の資産運用会社ブラックロックは、FRBが景気悪化で来年利下げを迫られる可能性に備えて、現時点で高利回りを確定することを投資家に推奨している。
同社のiシェアーズ投資戦略チームのシニアストラテジスト、クリスティ・アクリアン氏は、追加利上げの可能性が残っているとはいえ、デュレーションを長期化すべきだとし、「インフレの勝利宣言には早すぎる。経済の健全性には疑問が残る。このトレードは少し早めに始めた方が割に合う」と述べた。
<長期債でヘッジ>
26日の米国債利回りは低下。一方、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では9月の利上げ観測が高まった。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマルチアセット・グローバル責任者アダム・ヘッツ氏は、来年の浅い景気後退を予想し、優良株とコア債券を軸にポートフォリオのディフェンシブ化を図っている。
同氏は、利上げは終了した可能性があるが、高金利はしばらく続くことを認識する必要があると指摘する。
マディソン・インベストメンツの債券部門責任者マイク・サンダース氏は、高金利が市場の予想以上に続くと見込んでおり、短期債を選好しているが、予想外の景気減速をヘッジするため、長期債への投資も増やしているという。
投資家は年初の段階で景気後退のリスクを過大評価しており、今回も予想が外れる可能性はあるが、長短金利の逆転など景気後退のシグナルは点灯している。
USバンクの投資適格債トレーディング責任者ブレア・シュウェド氏は「FRBは物価安定を確実にするため、経済活動を多少危険にさらす用意があると強調している。市場がこのメッセージを軽視することは非常に難しいと思う」と指摘した。
(Davide Barbuscia記者、David Randall記者)