[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、物価情勢をより適切に把握するためなどに人工知能(AI)を活用できないか模索している。何年も物価上昇圧力を過小評価し、大幅な利上げを開始するタイミングが遅れたとの反省が背景にある。
ECBが検討しているのは、物価統計や企業情報、ニュース記事、銀行監督関連の文書など膨大なデータの整理と分析にAIを利用し、政策決定の精度を高める方法だ。
28日付のブログでは「AIはこの利用可能なデータ資源をわれわれが収集、精査、分析、解釈していく新たな手段を提示してくれるので、そこから得られる知見は統計やリスク管理、銀行監督、金融政策分析の面に生かすことが可能だ」と説明されている。
ECBは、AIを使って価格決定行動や物価の動きに対する理解を深めたい考え。ウェブを渉猟することでもリアルタイムの物価データを集められるものの、それらは体系的ではなく、物価上昇率の算出には適さないため、AIを通じて体系化し分析能力を改善するという。
また数千万の企業や銀行、公的機関からのデータを自動的に区分して金融環境の実情を知ることや、一般の人々には難しいと批判される対外発信の内容を分かりやすくすることなどにもAIが役立つとみている。