Kentaro Sugiyama
[東京 10日 ロイター] - 経済財政諮問会議の民間議員らは10日の会合で、政府が現在策定中の総合経済対策に盛り込む物価高対策について、「激変緩和策」という趣旨を明確化し、無期限に続くことがないよう提言した。
出席した民間議員らは提言の中で、低所得者など厳しい状況の人々をきめ細く重点的に支援するものにするよう求めた。その際、本来の目的から逸脱せず、平時への復帰を見据えたものにすべきだとした。
岸田文雄首相は先月25日の会見で、コロナ禍を乗り越えた国民が今度は物価高に苦しんでいると指摘。「税収増等を国民に適切に還元するべく経済対策を実施したい」と語った。与党は減税が選択肢にあると受け取めており、自民党の世耕弘成参院幹事長は10日の定例会見で、所得税の減税が有効と述べた。
<成長経済へ供給力強化に資源集中>
民間議員らはこのほか経済対策について、供給力強化につながる施策となるよう求めた。これまで企業は「コストカット型経済」のもとで投資を抑制し内部留保を拡大してきた、と指摘。今後は「社会課題の解決」を源泉に成長型経済へ移行する必要があるとした。
需給ギャップが解消に向かう中、経済対策は物流のボトルネック解消や半導体のような地方での投資、エネルギー安全保障や食料安全保障にかかわる投資など「特に2─3年以内に供給力強化に資する施策に資源を集中させる」べきだと提言した。
経済・財政一体改革については、成長や分配面に効果が上がるよう、政策横断的に予算・税制・制度改革などをパッケージにして取り組むことを提言。コロナ禍で拡大した地方向け交付金や社会保障費について検証し、歳出を平時に戻すための方策を練るべきなどとした。