Judy Hua Kevin Yao
[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が9日発表した1月の新規人民元建て融資は過去最高の4兆9200億元(6836億7000万ドル)と前月から急増し、市場予想も上回った。
当局は新型コロナウイルス禍後の景気回復が予想を下回っていることを受けて、追加の対策を講じる方針を示している。
中国の銀行は質の高い顧客を確保し、市場シェアを勝ち取るため、年明けに融資を前倒しで実施する傾向がある。
これまでの過去最高は4兆9000億元で昨年1月に記録した。
ロイターがまとめたアナリスト予想は4兆5000億元。昨年12月は1兆1700億元、前年同月は4兆9000億元だった。
華金証券のエコノミスト、ルオ・ユンフェン氏は「1月の銀行融資は予想より堅調で、実体経済を支援するだろう」と述べた。
「金融政策はこの先若干緩和される可能性が高い」との見方を示した。
ゴールドマン・サックスのアナリストはメモで「デフレの深刻化と景気の低迷を踏まえ、年内に追加で2回の利下げと2回の預金準備率引き下げが行われるとの予想を維持する」と記した。
<住宅ローンが急増>
住宅ローンを中心とする1月の家計向け融資は9801億元と、昨年12月の2221億元から増加。企業向け融資は8916億元から3兆8600億元に増加した。
マネーサプライM2の前年同月比伸び率は8.7%と12月の9.7%から鈍化し、市場予想の9.3%を下回った。2021年11月以来の低い伸びだった。
1月末時点の元建て融資残高は前年比10.4%増と12月の10.6%増から減速した。市場予想は10.4%増だった。
1月の社会融資総量は6兆5000億元、前月は1兆9400億元、市場予想は5兆5500億元だった。前年比の伸び率は9.5%と12月から横ばい。
社会融資総量は、通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す。
国債発行が加速すれば社会融資総量の増加に寄与する可能性がある。