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[北京 8日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は8日、国家安全保障のシステムと能力を近代化し、国の主権的利益を守るために新たな法律を制定すると表明した。
全人代常務委員会の趙楽際委員長が活動報告を行った。
それによると、緊急事態管理法や原子力法などを改正する。国防教育とサイバーセキュリティーに関する法律も改正するとした。
地政学情勢の緊迫化に伴い、習近平国家主席は国内外の脅威への対応に注力しており、年間の立法計画では国家安全保障分野に重点が置かれている。
香港大学のライアン・ミッチェル教授(法学)は「(報告書が)国家安全保障に焦点を当てていることに衝撃を受けた。これは重要な点だ」と述べた。
「地政学的競争が間違いなく安全保障に焦点を当てた法律を制定する動機になっている」とし、サイバーセキュリティー法の改正は中国と米国の緊張関係を反映していると分析した。
これとは別に最高人民法院(最高裁)の張軍院長が公表した活動報告書も、国家安全保障の概念を今年の業務に適用するとしている。
今年はほかに金融安定法や民間部門促進法を制定するほか、鉱物資源、不正競争、公共入札、民間航空に関する法律の改正を計画している。環境関連の立法も予定している。
データの海外移転を厳しく制限する法律や反スパイ法を受けて企業の信頼感が低下しているため、民間部門促進法の制定は前向きなシグナルとなる可能性がある。ただ活動報告書は詳細に言及していない。
報告書はまた「外交問題に関わる分野での法整備を進め、治外法権に関する法律の制度を構築する」と表明した。国際社会で法的手段によって中国の主権、安全保障、発展の利益を断固として守るとした。
外国の議員らを対象に中国でセミナーを開催するなど、外国議会との交流を拡大する意向も示した。