■事業概要1. 事業内容及びセグメント別概要萩原電気ホールディングス (T:7467)の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それだけでなくIT機器の仕入れ、販売やインテグレーションに加え、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。
売上高の約90%が自動車関連企業向けで、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、システム開発なども行っている。
ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。
同社は、2018年4月1日から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業(旧デバイスビジネスユニット事業)」と「ソリューション事業(旧ソリューションビジネスユニット事業)」へ変更した。
また重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。
概要は次のとおり。
(1) デバイス事業(2019年3月期売上高比率80.4%)主に自動車関連企業向けに、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。
また、カスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートビジネスも展開する。
具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。
またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供。
(2) ソリューション事業(同19.6%)IT機器、組込機器及び計測機器の販売とITプラットフォーム基盤構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。
また、自動車や半導体といった各産業分野向けFAシステム、物流システム、生産管理システムなどの構築サービス、データセンターサービスなどソリューション提案型のビジネスを行っている。
自動車業界向け以外の事業を伸ばすため、同社はデータセンター事業を育成している。
2012年5月には愛知県内にデータセンターを開設。
クラウド型のファイル共有・同期サービスやハウジングサービス(サーバー預かり)を提供し、主に中小企業の情報基盤整備や災害復旧(DR)対策の需要を取り込んでいる。
主要既存顧客の自動車関連メーカーに加えて、非製造業も含めた新規顧客の開拓に注力中だ。
また、これら機器販売やITソリューションの提供によって獲得した新規顧客から、半導体や電子部品といったデバイス事業での新規受注を得るというシナジー効果も見込んでいる。
(3) 開発生産本部ソリューション事業セグメントの中に含まれ、同事業配下の1つの事業部門として分かれている。
電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器やシステムソリューションを提案する。
同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
実例として、主に次の4つの分野に注力している。
a) 社会インフラシステムソリューションICカードシステム、デジタルサイネージ、KIOSK端末、道路・交通システム、金融システム等。
b) 産業制御システムソリューション工作機械、産業用ロボット、計測システム、各種産業機械等。
c) セキュリティシステムソリューション生体認証システム、ゲートウェイシステム、入退室セキュリティ等。
d) カスタムコントローラソリューション医療用補助機器、半導体製造・検査装置、画像処理システム、物流システム等。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)