ビューティ花壇は、葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営を主力として、生花卸売やブライダル装花を含めた生花事業をコア事業としているまた、M&Aを軸とした周辺事業の取り込みによる規模拡大と提案力向上にも積極的に取り組んできた同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートや大量仕入れを活かした価格競争力にあるただ、生花祭壇のパイオニアとして新たな技術を生み出し、広く一般に生花祭壇を普及させることで「業界のリーディングカンパニー」として成長してきた同社であるが、関東エリアを中心に急速なペースで単価下落が進んでおり、事業環境は厳しい状況が続いている
同社は、環境変化に対応するため、2016年6月期より3ヶ年の中期経営計画を推進している同社グループのコア事業である生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業)に最大限注力する事業方針の下、「業界のコストリーダー」として生産規模や販売規模、原料調達など物量を拡大させるとともに、長年培ってきたノウハウを活かした製造プロセスの効率化等による低コスト化を実現し、その結果として市場シェアを拡大する戦略をより強く打ち出している特に、生産から加工、販売の統合によるサプライチェーンの構築や大量物流の実現などにより、「生花卸売事業」が中長期的な業績の伸びをけん引する計画である
ただ、2016年6月期の業績は、売上高が前期比12.9%減の5,762百万円、営業利益が同11.8%増の126百万円と減収ながら増益となった売上高は、「ブライダル装花事業」が伸長した以外は、すべての事業が減収となった「土木・建設事業」からの撤退による影響は想定内であったが、「生花卸売事業」における事業再編を見据えた取扱品目の見直し等が業績に影響を与えた一方、主力の「生花祭壇事業」は単価下落により減収となったものの、労務費の圧縮や原価低減の取り組みにより大幅な損益改善を図っている
2017年6月期について同社は、今後の成長に向けた土台づくりの期間と位置付けており、売上高を前期比0.6%増の5,800百万円、営業利益を同25.0%減の95百万円と微増収ながら減益を見込んでいる売上高は、2016年6月期に引き続き、抜本的な物流改革に向けた取り組み(産地との旧来型の取引慣行の見直し等)により「生花卸売事業」が大きく落ち込むものの、「生花祭壇事業」「ブライダル装花事業」「その他の事業」がそれぞれ伸長することにより増収を確保する想定である損益面は、単価下落の影響や「生花卸売事業」の落ち込みにより減益となる見通しとなっている
したがって、2016年6月期同様、外部要因(受注単価の下落等)及び内部要因(物流改革への取り組み等)の両方が重なることにより業績は2期連続で踊り場となる見通しであるが、弊社では低価格戦略による施行件数の伸びや展開エリアの拡充によるシェア拡大に加えて、六次産業化を含めたサプライチェーンの構築に向けた施策が着実に進展しているところに注目しているまた、「生花卸売事業」における抜本的な物流改革が一時的な業績の後退を招いているものの、リーディングカンパニーとして業界を束ねる構想を実現するためには必要なプロセスと考えられ、むしろ業界全体の発展や再編に向けたスピードを加速するチャンスとして捉えることもできよう事業環境が厳しさを増すなかで、M&Aによる事業拡大や他社との提携の動きが同社の成長のカギを握るものとみており、今後の動向を見守りたい
■Check Point
・葬儀件数、葬儀業売上高が増加している
・16/6期は労務費の圧縮や原価低減の取り組む
・17/6期は今後の成長に向けた土台づくりの期間と位置付け
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
同社は、環境変化に対応するため、2016年6月期より3ヶ年の中期経営計画を推進している同社グループのコア事業である生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業)に最大限注力する事業方針の下、「業界のコストリーダー」として生産規模や販売規模、原料調達など物量を拡大させるとともに、長年培ってきたノウハウを活かした製造プロセスの効率化等による低コスト化を実現し、その結果として市場シェアを拡大する戦略をより強く打ち出している特に、生産から加工、販売の統合によるサプライチェーンの構築や大量物流の実現などにより、「生花卸売事業」が中長期的な業績の伸びをけん引する計画である
ただ、2016年6月期の業績は、売上高が前期比12.9%減の5,762百万円、営業利益が同11.8%増の126百万円と減収ながら増益となった売上高は、「ブライダル装花事業」が伸長した以外は、すべての事業が減収となった「土木・建設事業」からの撤退による影響は想定内であったが、「生花卸売事業」における事業再編を見据えた取扱品目の見直し等が業績に影響を与えた一方、主力の「生花祭壇事業」は単価下落により減収となったものの、労務費の圧縮や原価低減の取り組みにより大幅な損益改善を図っている
2017年6月期について同社は、今後の成長に向けた土台づくりの期間と位置付けており、売上高を前期比0.6%増の5,800百万円、営業利益を同25.0%減の95百万円と微増収ながら減益を見込んでいる売上高は、2016年6月期に引き続き、抜本的な物流改革に向けた取り組み(産地との旧来型の取引慣行の見直し等)により「生花卸売事業」が大きく落ち込むものの、「生花祭壇事業」「ブライダル装花事業」「その他の事業」がそれぞれ伸長することにより増収を確保する想定である損益面は、単価下落の影響や「生花卸売事業」の落ち込みにより減益となる見通しとなっている
したがって、2016年6月期同様、外部要因(受注単価の下落等)及び内部要因(物流改革への取り組み等)の両方が重なることにより業績は2期連続で踊り場となる見通しであるが、弊社では低価格戦略による施行件数の伸びや展開エリアの拡充によるシェア拡大に加えて、六次産業化を含めたサプライチェーンの構築に向けた施策が着実に進展しているところに注目しているまた、「生花卸売事業」における抜本的な物流改革が一時的な業績の後退を招いているものの、リーディングカンパニーとして業界を束ねる構想を実現するためには必要なプロセスと考えられ、むしろ業界全体の発展や再編に向けたスピードを加速するチャンスとして捉えることもできよう事業環境が厳しさを増すなかで、M&Aによる事業拡大や他社との提携の動きが同社の成長のカギを握るものとみており、今後の動向を見守りたい
■Check Point
・葬儀件数、葬儀業売上高が増加している
・16/6期は労務費の圧縮や原価低減の取り組む
・17/6期は今後の成長に向けた土台づくりの期間と位置付け
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)