■業績動向
1. 2017年3月期通期決算の概要
極東貿易 (T:8093)の2017年3月通期の決算は、売上高59,626百万円(前期比10.0%減)、売上総利益8,480百万円(同1.8%減)、営業利益1,190百万円(同1.1%減)、経常利益1,640百万円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,055百万円(同52.0%減)と減収増益となった。
前期は子会社化したヱトー(ねじ関連事業)が加わったことにより、売上高は約123億円、営業利益は約5.8億円のそれぞれ増分に寄与した。
結果的に全社営業利益率は1.1%(2015年3月期)から1.8%(2016年3月期)へ0.7ポイント引き上げられた。
今回、約1割の減収となったが、大型案件(重電設備、バイオマス発電設備)納入延期や樹脂・塗料事業の円高の影響など、外部環境などの“他責要因”が多く、直接収益にさほど影響しなかったと思われる。
また、高収益のねじ関連事業が収益を下支えしたとも言える。
2.2017年3月期事業セグメント別決算
(1) 機械部品関連部門
ねじ関連事業は、ヱトーの国内外のねじ事業が全体的に好調。
また、光複屈折装置の受注もあり、売上高
13,299百万円(984百万円増)、売上総利益も2,843百万円と大幅な増収増益となった。
また、ばね関連事業は、サンコースプリングの主力製品「定荷重ばね」を中心に受注好調で、売上高1,005百万円、売上総利益364百万円と増収増益となった。
この結果、機械部品関連部門は、売上高14,304百万円(前期比8.0%増)、売上総利益3,208百万円(同5.8%増)となった。
(2) 基幹産業関連部門
重電設備事業は、大口案件が2018年3月期に遅延することになり、売上高12,498百万円(2,289百万円減)、売上総利益891百万円となり大幅減収となった。
鉄鋼関連事業は、鉄鋼業界向け輸入設備が堅調で、売上高1,581百万円(85百万円増)、売上総利益209百万円の増収増益となった。
また、資源開発機器事業は、2016年3月期の地下資源掘削予算計上による特需が一巡、一部需要先食いの反動もあり、売上高1,780百万円(2,929百万円減)、売上総利益343百万円となり大幅減収となった。
検査装置事業は、活発な受注活動に支えられ受注残を確実に売上に結びつけ、売上高2,651百万円(832百万円増)、売上総利益401百万円の大幅増収となった。
この結果、基幹産業関連部門は、売上高18,579百万円(前期比18.7%減)、売上総利益1,872百万円(同16.6%減)となった。
(3) 電子・制御システム関連部門
航空電子事業は、バイオマス発電設備機器の納入延期で売上高1,838百万円(1,449百万円減)、売上総利益504百万円で大幅減収。
電子機器事業は、再稼働原発への機器納入で主力事業を担ってきた電子部品が底上げして、売上高1,143百万円、売上総利益353百万円と増収増益となった。
計装システムは火力発電所向けが前期より下振れしたが、売上高7,321百万円(1,033百万円減)、売上総利益678百万円と減収減益であるが、収益は高水準を維持している。
この結果、電子・制御システム関連部門は、売上高10,303百万円(前期比17.4%減)、売上総利益1,536百万円(前期比0.9%増)となった。
(4) 産業素材関連部門
樹脂・塗料事業は、米国・中国での事業は順調に推移したものの、通期では円高の影響で、売上高12,742百万円(1,146百万円減)、売上総利益1,249百万円と大幅減収となった。
複合材料事業は、設備機器、関連副資材とも好調に推移したために、売上高2,703百万円(230百万円増)、売上総利益524百万円と増収増益となった。
食品関連事業は、ハム・ソーセージ用副資材、設備機械とも販売不振で、売上高993百万円(295百万円減)、売上総利益89百万円と大幅な減収減益となった。
その結果として、産業素材関連部門は、売上高16,439百万円(前期比6.9%減)、売上総利益1,863百万円(同1.5%増)となった。
3.財務状況
財務状況で特筆すべきことは、手持ち資金が手厚いことである。
現預金7,970百万円に加え、投資有価証券9,179百万円を保有し、さらに含み益もあるようで、今後のM&A展開へ強力な武器と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
1. 2017年3月期通期決算の概要
極東貿易 (T:8093)の2017年3月通期の決算は、売上高59,626百万円(前期比10.0%減)、売上総利益8,480百万円(同1.8%減)、営業利益1,190百万円(同1.1%減)、経常利益1,640百万円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,055百万円(同52.0%減)と減収増益となった。
前期は子会社化したヱトー(ねじ関連事業)が加わったことにより、売上高は約123億円、営業利益は約5.8億円のそれぞれ増分に寄与した。
結果的に全社営業利益率は1.1%(2015年3月期)から1.8%(2016年3月期)へ0.7ポイント引き上げられた。
今回、約1割の減収となったが、大型案件(重電設備、バイオマス発電設備)納入延期や樹脂・塗料事業の円高の影響など、外部環境などの“他責要因”が多く、直接収益にさほど影響しなかったと思われる。
また、高収益のねじ関連事業が収益を下支えしたとも言える。
2.2017年3月期事業セグメント別決算
(1) 機械部品関連部門
ねじ関連事業は、ヱトーの国内外のねじ事業が全体的に好調。
また、光複屈折装置の受注もあり、売上高
13,299百万円(984百万円増)、売上総利益も2,843百万円と大幅な増収増益となった。
また、ばね関連事業は、サンコースプリングの主力製品「定荷重ばね」を中心に受注好調で、売上高1,005百万円、売上総利益364百万円と増収増益となった。
この結果、機械部品関連部門は、売上高14,304百万円(前期比8.0%増)、売上総利益3,208百万円(同5.8%増)となった。
(2) 基幹産業関連部門
重電設備事業は、大口案件が2018年3月期に遅延することになり、売上高12,498百万円(2,289百万円減)、売上総利益891百万円となり大幅減収となった。
鉄鋼関連事業は、鉄鋼業界向け輸入設備が堅調で、売上高1,581百万円(85百万円増)、売上総利益209百万円の増収増益となった。
また、資源開発機器事業は、2016年3月期の地下資源掘削予算計上による特需が一巡、一部需要先食いの反動もあり、売上高1,780百万円(2,929百万円減)、売上総利益343百万円となり大幅減収となった。
検査装置事業は、活発な受注活動に支えられ受注残を確実に売上に結びつけ、売上高2,651百万円(832百万円増)、売上総利益401百万円の大幅増収となった。
この結果、基幹産業関連部門は、売上高18,579百万円(前期比18.7%減)、売上総利益1,872百万円(同16.6%減)となった。
(3) 電子・制御システム関連部門
航空電子事業は、バイオマス発電設備機器の納入延期で売上高1,838百万円(1,449百万円減)、売上総利益504百万円で大幅減収。
電子機器事業は、再稼働原発への機器納入で主力事業を担ってきた電子部品が底上げして、売上高1,143百万円、売上総利益353百万円と増収増益となった。
計装システムは火力発電所向けが前期より下振れしたが、売上高7,321百万円(1,033百万円減)、売上総利益678百万円と減収減益であるが、収益は高水準を維持している。
この結果、電子・制御システム関連部門は、売上高10,303百万円(前期比17.4%減)、売上総利益1,536百万円(前期比0.9%増)となった。
(4) 産業素材関連部門
樹脂・塗料事業は、米国・中国での事業は順調に推移したものの、通期では円高の影響で、売上高12,742百万円(1,146百万円減)、売上総利益1,249百万円と大幅減収となった。
複合材料事業は、設備機器、関連副資材とも好調に推移したために、売上高2,703百万円(230百万円増)、売上総利益524百万円と増収増益となった。
食品関連事業は、ハム・ソーセージ用副資材、設備機械とも販売不振で、売上高993百万円(295百万円減)、売上総利益89百万円と大幅な減収減益となった。
その結果として、産業素材関連部門は、売上高16,439百万円(前期比6.9%減)、売上総利益1,863百万円(同1.5%増)となった。
3.財務状況
財務状況で特筆すべきことは、手持ち資金が手厚いことである。
現預金7,970百万円に加え、投資有価証券9,179百万円を保有し、さらに含み益もあるようで、今後のM&A展開へ強力な武器と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)