[ロンドン 13日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカンリフ副総裁は13日、暗号資産(仮想通貨)の崩壊は「妥当なシナリオ」であり、急成長している暗号資産分野を規制するルールが「喫緊の課題」として必要だと述べた。
講演で、暗号資産の技術の活用に伴う金融安定性へのリスクは現時点で限定的だが、この状況が長く続かないかもしれないと考える「極めて妥当な理由」が複数見られると指摘。「国際的または各国・地域の規制当局が取り組み始めている。喫緊の課題として進める必要がある」とした。
カンリフ氏によると、ほぼ規制されていない暗号資産の評価額は今年に入り8000億ドル弱から2兆3000億ドルへと約3倍に膨らんでおり、その95%が資産や不換通貨による裏付けがない。
カンリフ氏は「金融危機で明らかになったように、金融安定性の問題を引き起こすものが、必ずしも金融セクターで大きな割合を占めているわけではない」とし、世界的な金融危機につながったサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)の評価額は2008年時点で約1兆2000億ドルに過ぎなかったと言及。
「本質的な価値がなく、その結果として価格が乱高下すること、暗号資産の間で影響が波及する可能性があること、サイバー面や運用面での脆弱性、群衆行動の力などを考慮すると、(暗号資産の)崩壊が妥当なシナリオであることは確実だ」と述べた。
また、大口投資家やヘッジファンド、銀行の関与が深まるにつれ、暗号資産と伝統的な金融システムとの関係も深まっているとした。
暗号資産の技術を活用して金融サービスを提供する分散型金融(DeFi、ディーファイ)は規制されておらず、投資家保護もないことから「顕著な」問題を抱えており、英中銀はそのようなリスクの管理方法に関する取り組みに着手したと明かした。