[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日発表した4月鉱工業生産指数速報は、前月比1.3%低下だった。3カ月ぶりにマイナスに転じた。 中国が新型コロナウイルス対策のため実施したロックダウン(都市封鎖)により、部品調達に支障が出たことが自動車などの生産に響いた。
また、巣ごもり需要の一服などで海外需要が減少したことが電子部品・デバイス工業の生産に影響した。
ロイターが事前に実施した予測調査は同0.2%低下だった。
経済産業省は生産の基調判断を「足踏みをしている」とし、先月の「持ち直しの動きがみられる」から下方修正した。判断の下方修正は8カ月ぶり。
前月比で低下に寄与した業種は、モス型半導体集積回路(メモリ)などの電子部品・デバイス工業で前月比6.6%低下した。また、ショベル系掘削機械や半導体製造装置などの生産用機械工業は同2.7%、自動車工業は同0.6%それぞれ低下した。
一方、プラスに寄与した業種は、リチウムイオン蓄電池などの電気・情報通信機械工業や一般用蒸気タービンなどの汎用・業務用機械工業などだった。
生産予測指数は5月が前月比4.8%上昇、6月が同8.9%上昇が見込まれている。予測指数は上振れする傾向があるため、補正した試算では5月は前月比0.5%低下となっている。
経産省の担当者は、自動車メーカーが減産計画を発表していることを踏まえ、先行きの生産について、「下振れリスクは、当然、自動車などであり得る」との見解を示した。
大和総研のエコノミスト岸川和馬氏は、「5月以降、当面足踏みが続くと見ている。6月1日に上海市でのロックダウン解除が予想されてはいるが、物流回復は一朝一夕にはいかない」との見解を示した。
また、農林中金総合研究所の南武志・理事研究員は、「夏場と冬場には、国内でも電力不足が懸念されており、それらが生産の戻り基調に抑制的に働く可能性がある」との見方をしている。
トヨタ自動車が30日発表した4月の世界販売(トヨタ車とレクサス車のみ)は、8カ月連続で減少した。新型コロナウイルスの感染拡大や部品不足が響いた。世界生産は同9.1%減と3カ月ぶりに前年を割り込み、抑制的に立てていた計画を中国・上海のロックダウン(都市封鎖)などの影響で下回った。
*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html [http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html]
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