[東京 16日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は、前営業日比218円87銭安の2万7010円61銭と、反落して取引を終えた。欧米での金融システム不安が再燃して投資家心理が悪化し、銀行や保険など金融セクターを中心にプライム市場の8割超の銘柄が値下がりした。日経平均はバリュー株人気で大きく上昇していた反動で下げが深まったともみられている。
日経平均は400円超安でスタートした後も下げ幅を拡大し、一時前日比596円安の2万6632円92銭に下落した。スイスの金融大手クレディ・スイスの株価が前日に急落し、再び金融システム不安が高まった。
前場の序盤にクレディ・スイスがスイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(約7兆円)を借り入れる措置を発表すると、日経平均は急速に下げ幅を縮小し2万7000円を回復した。「懸念はいったん和らいだ」(国内証券のストラテジスト)といい、その後も同水準付近での推移が続いた。
前日の米国市場ではナスダック総合が小幅ながらプラスで、東京市場では半導体関連は総じてしっかり。「総悲観でもない中で、日本株の下げの大きさが目立った」(国内運用会社のストラテジスト)との声も聞かれた。
先行きの景気不安が漂う中で日本株は世界の景気敏感株として売られやすい面があるほか、金融株や鉄鋼株などが物色されたバリュー株人気で指数が大きく上昇していた反動などが指摘されている。TOPIXグロース指数の0.36%安に対し、バリュー指数は1.96%安だった。
1月第3週から3月第1週までの海外投資家による先物買い越しは3兆円を超えており、巻き戻しによって下げが深まったともみられ「(買いポジションは)まだ残っていそうだ、株価が値を戻せば、戻り売りが上値を抑えるのではないか」(水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャー)との見方もある。
TOPIXは1.17%安の1937.1ポイント、東証プライム市場指数は前営業日比1.17%安の996.69ポイントで取引を終了した。プライム市場の売買代金は3兆5488億6900万円だった。東証33業種では、値上がりは情報・通信業や食料品、電気・ガス業など1業種で、値下がりは鉄鋼や保険業、鉱業など32業種だった。
第一生命HLDGや、みずほFG、JFEHLDGが大幅安だった。一方、東京エレクトロンやアドバンテストはしっかり。キーエンスは堅調だった。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが218銘柄(11%)、値下がりは1582銘柄(86%)、変わらずは37銘柄(2%)だった。