*17:03JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:、米ISM景況指数、米雇用統計、安川電決算
■株式相場見通し
予想レンジ:上限28500円-下限27500円
来週の東京株式市場は一進一退か。
各国当局による迅速な対応が矢継ぎ早に打たれたこともあり、欧米での銀行経営を巡る不安はいったん後退。
また、今週末に発表された米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前年比および前月比ともに市場予想を下回り、前月からも鈍化した。
こうした背景から、株式市場では買い戻しの機運が高まっている。
一方、東京市場では、3月期決算企業の配当・優待権利取りの動きが一巡したほか、株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要というプラス要因が剥落するため、需給面での追い風は少なくなっている。
それでも、需給イベント通過直後の今週末に日経平均が28000円を超えてきたあたり、投資家センチメントは悪くないようだ。
東証がPBR1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めたとの報道も、海外投資家の日本株への注目度を高める支援材料になりそうだ。
期末特有の金融機関による決算対策の売り需要や年金基金のリバランス目的の売りが一巡してくることも需給面では重しが外れることになる。
日本取引所グループ(JPX)が公表する投資部門別売買動向によると、投資信託は3月第3週(3月13-17日)から現物・先物合算で買い越しに転じ、同週まで18週連続で現物株を売り越していた信託銀行も第4週(3月20-24日)にはようやく買い越しに転じた。
一方、名実ともに新年度相場入りとなることで、4月第1週は期初特有の機関投資家による益出し売りが重しとなる可能性があり、この点が日本株の上値抑制要因となりそうだ。
他方、海外では米国で週末に雇用統計が発表されるほか、供給管理協会(ISM)の景況指数が製造業・非製造業それぞれ発表される。
金融システム不安が後退してきたことで、市場の関心は再び米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を左右する経済指標へと移ってきている。
パウエルFRB議長は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で銀行の経営不安がもたらす信用収縮が利上げと同等以上の効果を有する可能性を指摘していたが、基本的には問題がこれ以上大きくならないのであれば、インフレ抑制を最優先に利上げを行う方針を維持している。
金融システム不安を受けて、金利先物市場は年内の利下げを織り込み、週末時点で2023年末の政策金利としては4.35%を予想している。
これはFRBが3月時点で据え置いた政策金利中央値の5.125%と大きな乖離がある。
銀行の経営不安が後退しつつある中、ISM景況指数や雇用統計が強い数字となれば、再び市場の織り込む政策金利水準が引き上がり、金融引き締め懸念が強まる可能性はありそうだ。
4月中旬からは3月期決算企業の本決算が発表されるが、外部環境の不透明感が強い中、企業の見通しが保守的になるガイダンスリスクが意識される。
積極的に買い上がる動きが限られそうな中、FRBの金融政策を左右する米経済指標の結果には神経質になると考える。
こうした中、週末には3月期決算の製造業の業績を占う先行指標として注目される安川電機 (TYO:6506)の12-2月期決算が発表予定だ。
週末の米雇用統計と合わせて注目材料となるため、来週は週末まで動きにくい展開が予想される。
このため、指数は一時的に上下に振れても週末にかけては元に戻す動きが想定される。
ほか、来週は小売企業を中心に決算発表が多く控える。
経済再開に伴う客足回復や値上げ効果、原料高の一巡などを要因に堅調な決算に期待したい。
週初には3月の日銀短観が発表されるが、設備投資動向や業種ごとの景気に対するセンチメントの違いが今後の機関投資家の物色動向に影響を与えそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。
欧米金融システム不安は消え去っていないものの、過度な懸念は和らぎ、安全通貨の円選好地合いは弱まる見通し。
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑止の方針を堅持するとみられ、ドル買い・円売りは継続する可能性がある。
バイデン米大統領は「銀行危機はまだ終わっていない」との認識を示し、目先も警戒感から安全通貨は売りづらいだろう。
ただ、米国では経営難に陥った金融機関に対する政府や当局の適切な対応により、連鎖的な破綻は抑制されている。
一方、パウエルFRB議長は21-22日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、利上げ休止を検討したとの経緯を明かしたが、インフレ抑止に向け引き締め姿勢を堅持。
米長期金利は下げづらく、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小しつつある。
今後は5月開催の次回FOMCに向け、経済指標で利上げサイクルの継続を見極める展開に。
4月7日発表の3月米雇用統計では、非農業部門雇用者増加数は前回実績を下回り、失業率は横ばいと予想されるが、市場予想を上回った場合、金利高・ドル高の材料となろう。
なお、銀行の経営破綻は回避されたとしても、融資の厳格化による景気減速への懸念は残る。
ISM景況指数で製造業、非製造業でリセッションへの危機感が広がれば、ドルの上昇を抑える可能性はあろう。
■来週の注目スケジュール
4月3日(月):日・製造業PMI(3月)、日銀短観(大企業製造業DI)(1-3月)、中・財新製造業PMI(3月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(3月)、米・製造業PMI(3月)、米・ISM製造業景況指数(3月)、など
4月4日(火):日・トランザクション・メディア・ネットワークスが東証グロースに新規上場、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・製造業受注(2月)、米・JOLT求人件数(2月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演、など
4月5日(水):日・サービス業PMI(3月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(3月)、米・ADP全米雇用報告(3月)、米・サービス業PMI(3月)、米・ISM非製造業景況指数(3月)、中・株式市場は祝日のため休場(清明節)、香港・株式市場は祝日のため休場(清明節)、など
4月6日(木):日・東京オフィス空室率(3月)、日・決算発表→7&iHD、中・財新サービス業PMI(3月)、印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・セントルイス連銀総裁が講演、など
4月7日(金):日・毎月勤労統計(2月)、日・家計支出(2月)、日・決算発表→安川電、米・雇用統計(3月)、米・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、債券市場は短縮取引、欧・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、香港・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、など
予想レンジ:上限28500円-下限27500円
来週の東京株式市場は一進一退か。
各国当局による迅速な対応が矢継ぎ早に打たれたこともあり、欧米での銀行経営を巡る不安はいったん後退。
また、今週末に発表された米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前年比および前月比ともに市場予想を下回り、前月からも鈍化した。
こうした背景から、株式市場では買い戻しの機運が高まっている。
一方、東京市場では、3月期決算企業の配当・優待権利取りの動きが一巡したほか、株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要というプラス要因が剥落するため、需給面での追い風は少なくなっている。
それでも、需給イベント通過直後の今週末に日経平均が28000円を超えてきたあたり、投資家センチメントは悪くないようだ。
東証がPBR1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めたとの報道も、海外投資家の日本株への注目度を高める支援材料になりそうだ。
期末特有の金融機関による決算対策の売り需要や年金基金のリバランス目的の売りが一巡してくることも需給面では重しが外れることになる。
日本取引所グループ(JPX)が公表する投資部門別売買動向によると、投資信託は3月第3週(3月13-17日)から現物・先物合算で買い越しに転じ、同週まで18週連続で現物株を売り越していた信託銀行も第4週(3月20-24日)にはようやく買い越しに転じた。
一方、名実ともに新年度相場入りとなることで、4月第1週は期初特有の機関投資家による益出し売りが重しとなる可能性があり、この点が日本株の上値抑制要因となりそうだ。
他方、海外では米国で週末に雇用統計が発表されるほか、供給管理協会(ISM)の景況指数が製造業・非製造業それぞれ発表される。
金融システム不安が後退してきたことで、市場の関心は再び米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を左右する経済指標へと移ってきている。
パウエルFRB議長は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で銀行の経営不安がもたらす信用収縮が利上げと同等以上の効果を有する可能性を指摘していたが、基本的には問題がこれ以上大きくならないのであれば、インフレ抑制を最優先に利上げを行う方針を維持している。
金融システム不安を受けて、金利先物市場は年内の利下げを織り込み、週末時点で2023年末の政策金利としては4.35%を予想している。
これはFRBが3月時点で据え置いた政策金利中央値の5.125%と大きな乖離がある。
銀行の経営不安が後退しつつある中、ISM景況指数や雇用統計が強い数字となれば、再び市場の織り込む政策金利水準が引き上がり、金融引き締め懸念が強まる可能性はありそうだ。
4月中旬からは3月期決算企業の本決算が発表されるが、外部環境の不透明感が強い中、企業の見通しが保守的になるガイダンスリスクが意識される。
積極的に買い上がる動きが限られそうな中、FRBの金融政策を左右する米経済指標の結果には神経質になると考える。
こうした中、週末には3月期決算の製造業の業績を占う先行指標として注目される安川電機 (TYO:6506)の12-2月期決算が発表予定だ。
週末の米雇用統計と合わせて注目材料となるため、来週は週末まで動きにくい展開が予想される。
このため、指数は一時的に上下に振れても週末にかけては元に戻す動きが想定される。
ほか、来週は小売企業を中心に決算発表が多く控える。
経済再開に伴う客足回復や値上げ効果、原料高の一巡などを要因に堅調な決算に期待したい。
週初には3月の日銀短観が発表されるが、設備投資動向や業種ごとの景気に対するセンチメントの違いが今後の機関投資家の物色動向に影響を与えそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。
欧米金融システム不安は消え去っていないものの、過度な懸念は和らぎ、安全通貨の円選好地合いは弱まる見通し。
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑止の方針を堅持するとみられ、ドル買い・円売りは継続する可能性がある。
バイデン米大統領は「銀行危機はまだ終わっていない」との認識を示し、目先も警戒感から安全通貨は売りづらいだろう。
ただ、米国では経営難に陥った金融機関に対する政府や当局の適切な対応により、連鎖的な破綻は抑制されている。
一方、パウエルFRB議長は21-22日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、利上げ休止を検討したとの経緯を明かしたが、インフレ抑止に向け引き締め姿勢を堅持。
米長期金利は下げづらく、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小しつつある。
今後は5月開催の次回FOMCに向け、経済指標で利上げサイクルの継続を見極める展開に。
4月7日発表の3月米雇用統計では、非農業部門雇用者増加数は前回実績を下回り、失業率は横ばいと予想されるが、市場予想を上回った場合、金利高・ドル高の材料となろう。
なお、銀行の経営破綻は回避されたとしても、融資の厳格化による景気減速への懸念は残る。
ISM景況指数で製造業、非製造業でリセッションへの危機感が広がれば、ドルの上昇を抑える可能性はあろう。
■来週の注目スケジュール
4月3日(月):日・製造業PMI(3月)、日銀短観(大企業製造業DI)(1-3月)、中・財新製造業PMI(3月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(3月)、米・製造業PMI(3月)、米・ISM製造業景況指数(3月)、など
4月4日(火):日・トランザクション・メディア・ネットワークスが東証グロースに新規上場、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・製造業受注(2月)、米・JOLT求人件数(2月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演、など
4月5日(水):日・サービス業PMI(3月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(3月)、米・ADP全米雇用報告(3月)、米・サービス業PMI(3月)、米・ISM非製造業景況指数(3月)、中・株式市場は祝日のため休場(清明節)、香港・株式市場は祝日のため休場(清明節)、など
4月6日(木):日・東京オフィス空室率(3月)、日・決算発表→7&iHD、中・財新サービス業PMI(3月)、印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・セントルイス連銀総裁が講演、など
4月7日(金):日・毎月勤労統計(2月)、日・家計支出(2月)、日・決算発表→安川電、米・雇用統計(3月)、米・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、債券市場は短縮取引、欧・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、香港・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)、など