[サンフランシスコ 9日 ロイター] - イエレン米財務長官は9日、サンフランシスコで中国の何立峰副首相と会談を開始した。会談は2日間の予定で、両国間で高まる緊張による経済への影響を最小限にとどめ、国家安全保障から気候変動まで幅広い議題で対話の継続を目指す。
イエレン長官は冒頭の挨拶で、米中経済関係に加え、中国の政府補助金供与、気候変動や低所得国の債務減免といった世界的な課題について「オープンで実質的な議論」に期待を表明。「米国は中国とのデカップリング(分断)は望んでいない。全面的な経済の分断は両国そして世界にとり経済的に壊滅的な結果をもたらす」と述べた。
米国の国家安全保障上の懸念から制限措置が継続している背景についても説明し、討議する考えも示した。
何氏は通訳を介し、これまでのイエレン氏とのやり取りは「建設的」だったと述べると同時に、米中は関係を「健全で安定した状況に戻す」必要があるとも述べた。
さらに、投資やビジネス環境の改善を含む中国の「経済に関する主要懸念」を伝えるとしたほか、米国による対中関税や中国への投資制限などを踏まえ、米中の「経済・貿易関係を軌道に戻すための効果的な措置」についても協議したい考えを示した。
アデエモ米財務副長官は9日の「ロイターネクスト」会議で、イエレン氏が中国側に対し、ロシアのウクライナ侵攻に物質的な支援を提供すべきではないと明確に伝える見通しだと述べた。支援を行う企業は米制裁の対象になるとした。
「直接対話が行われるということは、お互いを理解しているという意味だ」と語った。また、イスラム組織ハマスを資金支援している当事者を対象に新たな制裁が近く導入されると明らかにした。