*18:02JST 【原油相場の特徴と今後の注目点】~価格動向予想と原油先物の魅力~vol.2
以下は、2024年10月16日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された【原油相場の特徴と今後の注目点】です。
価格動向予想と原油先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
ドル円の動向
TOCOMのドバイ原油は円建て取引であるため、ドル円の動向にも目を向けてください。
日米の景気動向、政策金利などの相場材料に注意を払う必要があります。
ドル円の動きを占うという意味でも重要ですが、足もとでは米中2大国の景気動向が重要になってきます。
中国の景気が悪いということは周知の事実ですので、どちらかというとアメリカの景気動向に注目が集まります。
アメリカの景気を見極めるためには、経済の大部分を占める内需、特にそれを支える雇用の様子を確認することが重要です。
雇用統計だけでアメリカ景気を語るのは少し乱暴ですが、最重要な経済指標なので、見方を確認しておきましょう。
アメリカの雇用統計では、特に非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls)や失業率が重要な確認項目です。
これらの数値が特定の水準を下回ると、一般的に景気が悪化したとみなされることがあります。
以下の基準が目安となりますが、詳細な解釈には他の経済指標との組み合わせが重要です。
1. 非農業部門雇用者数
月ごとの増加数が10万人未満になると、雇用の成長が停滞し、景気が悪化している兆候と見なされることが多いと思われます。
マイナス成長(月次雇用減少)は、景気の明確な悪化を示す強いサインです。
2. 失業率
一般的に、5%を超える失業率は労働市場が悪化したとみなされること場合が多いと思われます。
特に5%を大きく超え、6%以上に達すると、深刻な景気悪化のサインとされます。
失業率の急激な上昇も警戒される要因です。
失業率が0.5%以上急増するような場合は、景気の急激な悪化として注視されます。
日本は輸入する原油の90%超を中東産原油に依存していることもあり、東京商品取引所(TOCOM)は中東産原油の基準価格となるドバイ原油先物を上場しています。
TOCOMのドバイ原油先物は、現物取引でも指標とされる世界的な価格報告機関がアセスメントして発表するドバイ原油価格がベースとなっています。
取引最終日までに決済されないポジションはそのドバイ原油価格の月間平均で決済されます。
ドバイ原油先物は2024年9月30日時点の終値ベース(中心限月)で、レバレッジが最大で10.5倍と、こちらも資金効率が高い点が魅力的です。
レバレッジは、1枚当たり50キロリットル単位となるので61,990円×50kl/301,500円という計算式ですね。
先物取引を活用するメリットについても簡単に紹介しておきます。
先物取引では、証拠金取引であることから資金効率の良い投資が実現できることのほか、現物株取引ができない時間帯(夜間)も対応できる、売りからも入れる柔軟な戦略立案ができる、祝日取引で大型連休中の空白リスクに対応できるなど、様々なメリットがあります。
なお、祝日取引はJPXのウェブサイトにて実施日を確認してください。
ドバイ原油先物を活用した投資は、株式投資のリスクヘッジ手段として、原油先物を売り持ちにする手法があげられます。
2020年年初から24年9月30日まででのドバイ原油先物とTOPIX(東証株価指数)との相関係数は0.52と比較的高い相関性を有しています。
株式を買い持ちし、ドバイ原油先物を売り持ちすることで、景気後退時の株価下落局面には、原油先物売り持ちポジションの利益が膨らむことが期待され、リスクヘッジ手段として使えることがあげられます。
■ご参考:原油価格の要因
2020年
1月: 新型コロナウイルスの影響が拡大し始め、経済活動が低迷する懸念から原油価格が下落。
4月: 歴史的な大事件が発生。
コロナ禍による需要急減と在庫逼迫で、WTI原油先物価格がマイナス37ドルまで下落(史上初のマイナス価格)。
5月~6月: 主要産油国の協調減産や経済再開への期待から、価格が回復傾向に入り、20ドル台後半から30ドル台に上昇。
12月: ワクチン開発の進展により、経済活動再開期待が強まり、原油価格は45ドル付近まで上昇。
2021年
3月: 経済回復とともに原油需要が増加し、WTI価格は60ドル台に達する。
7月: OPECプラスの増産合意にもかかわらず、需要回復の強さが価格を押し上げ、75ドル台に上昇。
11月: オミクロン株の懸念が広がり、原油価格は急落。
月末には70ドル台前半に下落。
2022年
2月~3月: ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー供給への懸念が高まり、WTI原油価格は100ドルを突破。
3月には130ドルに迫る局面も。
6月: 供給制約と夏場の需要増加で、WTIは110ドル台を維持。
11月: 景気減速懸念や中国のゼロコロナ政策などの影響で、原油価格は80ドル台に低下。
2023年
3月: 世界的な金融不安や銀行破綻の影響で、リスク回避の動きが強まり、価格は一時70ドル台に低下。
6月: サウジアラビアの追加減産発表により、再び80ドル台に上昇。
9月: OPECプラスの減産継続と世界的な需要堅調に支えられ、原油価格は90ドル近くまで上昇。
2024年
1月: 世界的な需要回復とOPECプラスの減産継続が支えとなり、価格は80ドル台を維持。
インフレ懸念が続く中で、エネルギー価格も高止まり傾向にありました。
2月: 中国経済の回復が進み、アジア市場の原油需要が増加。
これにより、WTI価格は85ドル前後に上昇。
3月: アメリカを含む主要国での金利上昇の影響で、経済活動に対する懸念が強まり、一時的に価格は80ドル前後まで下落しました。
4月: サウジアラビアを中心としたOPECプラスの減産継続発表があり、供給減少への期待から価格は再び85ドル台まで上昇。
5月: 世界的な景気減速への懸念と、供給の回復が進む中で、価格は70ドル台後半に低下しました。
6月: 夏季の需要増加の影響で一時的な価格上昇が見られましたが、価格は依然として70ドル台後半から80ドル弱の範囲で推移。
7月: 世界的な景気懸念が続く中で、WTI価格は70ドル台後半を維持しました。
特に中国の需要回復の鈍化が影響を与えています。
8月: OPECプラスの減産継続にもかかわらず、世界的な経済成長の鈍化が懸念され、価格は80ドルに届かない状況が続きました。
ご視聴いただきありがとうございました。
価格動向予想と原油先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
ドル円の動向
TOCOMのドバイ原油は円建て取引であるため、ドル円の動向にも目を向けてください。
日米の景気動向、政策金利などの相場材料に注意を払う必要があります。
ドル円の動きを占うという意味でも重要ですが、足もとでは米中2大国の景気動向が重要になってきます。
中国の景気が悪いということは周知の事実ですので、どちらかというとアメリカの景気動向に注目が集まります。
アメリカの景気を見極めるためには、経済の大部分を占める内需、特にそれを支える雇用の様子を確認することが重要です。
雇用統計だけでアメリカ景気を語るのは少し乱暴ですが、最重要な経済指標なので、見方を確認しておきましょう。
アメリカの雇用統計では、特に非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls)や失業率が重要な確認項目です。
これらの数値が特定の水準を下回ると、一般的に景気が悪化したとみなされることがあります。
以下の基準が目安となりますが、詳細な解釈には他の経済指標との組み合わせが重要です。
1. 非農業部門雇用者数
月ごとの増加数が10万人未満になると、雇用の成長が停滞し、景気が悪化している兆候と見なされることが多いと思われます。
マイナス成長(月次雇用減少)は、景気の明確な悪化を示す強いサインです。
2. 失業率
一般的に、5%を超える失業率は労働市場が悪化したとみなされること場合が多いと思われます。
特に5%を大きく超え、6%以上に達すると、深刻な景気悪化のサインとされます。
失業率の急激な上昇も警戒される要因です。
失業率が0.5%以上急増するような場合は、景気の急激な悪化として注視されます。
日本は輸入する原油の90%超を中東産原油に依存していることもあり、東京商品取引所(TOCOM)は中東産原油の基準価格となるドバイ原油先物を上場しています。
TOCOMのドバイ原油先物は、現物取引でも指標とされる世界的な価格報告機関がアセスメントして発表するドバイ原油価格がベースとなっています。
取引最終日までに決済されないポジションはそのドバイ原油価格の月間平均で決済されます。
ドバイ原油先物は2024年9月30日時点の終値ベース(中心限月)で、レバレッジが最大で10.5倍と、こちらも資金効率が高い点が魅力的です。
レバレッジは、1枚当たり50キロリットル単位となるので61,990円×50kl/301,500円という計算式ですね。
先物取引を活用するメリットについても簡単に紹介しておきます。
先物取引では、証拠金取引であることから資金効率の良い投資が実現できることのほか、現物株取引ができない時間帯(夜間)も対応できる、売りからも入れる柔軟な戦略立案ができる、祝日取引で大型連休中の空白リスクに対応できるなど、様々なメリットがあります。
なお、祝日取引はJPXのウェブサイトにて実施日を確認してください。
ドバイ原油先物を活用した投資は、株式投資のリスクヘッジ手段として、原油先物を売り持ちにする手法があげられます。
2020年年初から24年9月30日まででのドバイ原油先物とTOPIX(東証株価指数)との相関係数は0.52と比較的高い相関性を有しています。
株式を買い持ちし、ドバイ原油先物を売り持ちすることで、景気後退時の株価下落局面には、原油先物売り持ちポジションの利益が膨らむことが期待され、リスクヘッジ手段として使えることがあげられます。
■ご参考:原油価格の要因
2020年
1月: 新型コロナウイルスの影響が拡大し始め、経済活動が低迷する懸念から原油価格が下落。
4月: 歴史的な大事件が発生。
コロナ禍による需要急減と在庫逼迫で、WTI原油先物価格がマイナス37ドルまで下落(史上初のマイナス価格)。
5月~6月: 主要産油国の協調減産や経済再開への期待から、価格が回復傾向に入り、20ドル台後半から30ドル台に上昇。
12月: ワクチン開発の進展により、経済活動再開期待が強まり、原油価格は45ドル付近まで上昇。
2021年
3月: 経済回復とともに原油需要が増加し、WTI価格は60ドル台に達する。
7月: OPECプラスの増産合意にもかかわらず、需要回復の強さが価格を押し上げ、75ドル台に上昇。
11月: オミクロン株の懸念が広がり、原油価格は急落。
月末には70ドル台前半に下落。
2022年
2月~3月: ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー供給への懸念が高まり、WTI原油価格は100ドルを突破。
3月には130ドルに迫る局面も。
6月: 供給制約と夏場の需要増加で、WTIは110ドル台を維持。
11月: 景気減速懸念や中国のゼロコロナ政策などの影響で、原油価格は80ドル台に低下。
2023年
3月: 世界的な金融不安や銀行破綻の影響で、リスク回避の動きが強まり、価格は一時70ドル台に低下。
6月: サウジアラビアの追加減産発表により、再び80ドル台に上昇。
9月: OPECプラスの減産継続と世界的な需要堅調に支えられ、原油価格は90ドル近くまで上昇。
2024年
1月: 世界的な需要回復とOPECプラスの減産継続が支えとなり、価格は80ドル台を維持。
インフレ懸念が続く中で、エネルギー価格も高止まり傾向にありました。
2月: 中国経済の回復が進み、アジア市場の原油需要が増加。
これにより、WTI価格は85ドル前後に上昇。
3月: アメリカを含む主要国での金利上昇の影響で、経済活動に対する懸念が強まり、一時的に価格は80ドル前後まで下落しました。
4月: サウジアラビアを中心としたOPECプラスの減産継続発表があり、供給減少への期待から価格は再び85ドル台まで上昇。
5月: 世界的な景気減速への懸念と、供給の回復が進む中で、価格は70ドル台後半に低下しました。
6月: 夏季の需要増加の影響で一時的な価格上昇が見られましたが、価格は依然として70ドル台後半から80ドル弱の範囲で推移。
7月: 世界的な景気懸念が続く中で、WTI価格は70ドル台後半を維持しました。
特に中国の需要回復の鈍化が影響を与えています。
8月: OPECプラスの減産継続にもかかわらず、世界的な経済成長の鈍化が懸念され、価格は80ドルに届かない状況が続きました。
ご視聴いただきありがとうございました。