中国の8月貿易黒字は+348.4億ドルと、黒字幅は予想を下回り4月来で最低となった。
輸出は前年比‐1.0%と、予想外の減少に落ち込んだ。
輸入は前年比—5.6%と、4カ月連続のマイナス。
関税が中国の貿易に響いている明確な証拠となった。
米中貿易戦争が深刻化。
米国政府は9月1日から新たに対中製品に関税を課した。
8月の中国の貿易指標にはまだ、この新関税の影響は反映していないことになる。
今後の貿易交渉次第では、米国政府は対中輸入関税率の引き上げやまた、年末までに全中国輸入品に関税を課す方針をすでに発表しており、中国の貿易関連指標が一段と悪化する恐れがある。
同国が輸出依存型経済であることから、貿易活動の鈍化はすでに27年ぶりの低水準に落ち込んだ同国の成長ペースをより鈍化させる危険がある。
米国のムニューシン財務長官は10月の閣僚級米中貿易交渉開催を控えて、協議が大きく前進したことを明らかにした。
また、中国の劉鶴副首相が率いる交渉団が10月ワシントンを訪れることは、「誠意のしるし」と加えた。
確かに、米中貿易協議が再開されること自体でもプラス材料と考えられる。
中国の貿易には関税の影響を大きく受けている証拠が出る中、1年以上続いている米中貿易戦争は米国経済に全く損害を与えていないと、長官は主張。
近い将来、米国経済が景気後退に陥る可能性も否定した。
中国や欧州など、世界経済で成長減速が見られることは明らかだが、米国経済は唯一の明るい場となっていると指摘。
香港で続いている混乱は鎮静化するどころか、深刻化の危険もあり米中貿易にも影響を与えかねない。
米国のレバレッジが一段と拡大することになる。
中国が協議を再開する意向を見せたことや北朝鮮も「今月下旬の米朝実務協議の再開に意欲を見せた」ことでも裏付けられる。
10日に発表される中国の8月消費者物価指数(前年比予想:+2.7%、7月:+2.8%)、8月生産者物価指数(前年比予想:-0.9%、7月:-0.3%)で中国国経済の動向をさらに探る。