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クルーズ船対応に内外から批判-野党から下船乗客の隔離求める声も

発行済 2020-02-20 09:30
更新済 2020-02-20 10:18
© Reuters.  クルーズ船対応に内外から批判-野党から下船乗客の隔離求める声も

(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスの集団感染が発生した横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号では、乗客が前日に続き20日も下船する。同船の感染者はこれまでに600人を超えた。国内各地でも経路不明の感染が相次いでおり、日本は感染を拡大させる最も危険な地域の一つと世界で位置付けられようとしている。

  NHKによると国内の感染者数は19日段階で84人で、中国本土以外ではシンガポールと肩を並べている。同日までのクルーズ船の感染者621人を加えると計705人となり、国内感染者数は一気に膨れ上がる。

  厚生労働省は14日間の健康観察を終え、検査で陰性が確認された乗客の下船を認め、19日は約500人が下船。共同通信によると、下船した乗客はバスで横浜駅など複数のターミナル駅に移動、帰宅の途に就いた。感染者と同室だった人などは、観察期間が継続する。

  こうした政府の対応に対し、米疾病対策センター(CDC)は18日、船内隔離について、リスクは現在進行中だとした上で、日本政府の措置は「船内感染を防ぐには不十分だったかもしれない」との判断を示した。CDCは同船の乗客と乗員に対する米国への入国制限措置を講じるとともに、「船内に残っている乗客の中にさらに陽性が確認されるケースがあるかもしれない」と指摘した。

  韓国の保健当局者も19日の定例会見で、同船を下船した乗客について、韓国人以外の入国を禁止する方針を明らかにした。韓国外務省を通じて乗客名簿の入手を目指す方針だ。

  19日の衆院予算委員会でも、立憲民主党などの統一会派の山井和則氏(無所属)がクルーズ船の状況については「感染者がどんどん増えている」と指摘した上で、下船後も「苦渋の選択かもしれないが念のため快適な場所で2週間は隔離する。それが賢明な判断ではないか」と求めた。

  これに対し、加藤勝信厚生労働相は新型コロナウイルスの実態が解明されていない中で、「どの範囲でコントロールしていくかが課題だ。最終的な責任は私や政府だが、専門家の意見を踏まえながら判断していかなければいけないということで今回の結論に至った」と述べた。

  同船では乗員・乗客に加え、検疫官や厚労省職員、災害派遣医療チーム(DMAT)に参加した看護師のほか、同船から患者を搬送した救急隊員の感染も確認されている。

国内の専門家からも批判

  船内の感染拡大防止に向けた政府の対応については、日本国内の感染症対策の専門家からも疑問の声が上がっている。神戸大学の岩田健太郎教授(感染治療学)は医療従事者らへの二次感染を防ぐ管理が不十分だったと18日に公開した動画の中で批判。専門家の視点から見ると「超非常識なことを平気でやっている」と述べた。

  岩田氏は18日、DMATの一員として乗船。船内はウイルスが全くない安全なゾーンと、いるかもしれない危険なゾーンが区別されておらず、「熱のある人は普通に歩いて医務室に行くというのが通常で行われている」と指摘。廊下で医療従事者と患者がすれ違う場面にも遭遇、船内の状況は「悲惨な状態で心の底から怖いと思った」と語った。

  ただ、岩田氏は20日に自身のツイッターで、「これ以上この議論を続ける理由はなくなったと思います」とし、動画を削除。「ご迷惑をおかけした方には心よりおわび申し上げます」とも投稿した。

  岩田氏の指摘に対し、加藤厚労相は19日の衆院予算委員会で、「船内には感染症の専門家が常駐している」と述べ、専門家から指摘を受けながら対応していると説明。菅義偉官房長官も会見で、船内での感染拡大防止に向け「適切に対応してきている」とし、現在は「乗員・乗客の健康確保に最大限配慮」した措置を取っていると語った。

  2月3日に横浜港に入った同船には50以上の国・地域から乗船・乗客計3711人が乗船していた。すでに米国人約300人が同国のチャーター機で帰国。韓国も大統領専用機で希望者を出国させた。オーストラリア、カナダもチャーター機の運航日程を調整中で、イタリア、イスラエル、英国、香港、台湾も航空機を派遣する意向を示している。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 延広絵美 enobuhiro@bloomberg.net;Tokyo 広川高史 thirokawa@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net, 下土井京子

©2020 Bloomberg L.P.

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