[ワシントン 14日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は14日、「ロシア軍部隊増強の劇的な加速」を踏まえ、在ウクライナ米大使館に残っている職員を首都キエフから西部リビウに移転させると発表した。
国務省のプライス報道官は、記者会見で「ウクライナ侵攻は激しい暴力や大規模な破壊を伴う可能性があり、人命の損失は米国人やウクライナ人などの区別なく起こるだろう」と述べた。
米国は大半の大使館員に既に国外退避を命じており、現地の米国人にも民間の手段で退避するよう勧告している。
ブリンケン氏は声明で、大使館の機能をポーランドとの国境から約80キロの西部リビウに移す決定について、職員の安全を考慮したと説明。
その上で、ウクライナの「主権と領土の一体性」に対する米国の支持を「決して」弱めるものではなく、米外交官はウクライナ政府との「関与を継続」していくと強調した。
ロシアに対し、引き続き外交的解決を求めているとも述べた。
ただ、プライス報道官は「ロシアが外交的な道の模索に関心があるかどうか定かではない」と指摘した。
報道官は、ロシアのラブロフ外相がテレビ放送されたプーチン大統領との会議で、西側から安全保障上の確約を引き出すため外交努力を続ける姿勢を示したことを米政府は認識しているが、一方で、ロシア軍部隊による「緊張緩和の兆候は全く見られない」と述べた。
大使館機能を移転する決定については「実際に自分たちの目で確認した状況に基づく判断」と説明。「ロシアは挑発を受けていないにもかかわらず部隊の増強を続けている」と述べた。
また「ロシアが軍事行動に踏み切る決定をする明確な可能性があり、おそらくこれまで以上に現実味が高まっている」と警告した。