[18日 ロイター] - スポーツにおける人権を促進する非政府組織(NGO)の国際的な連合体「スポーツ・アンド・ライツ・アライアンス(SRC)」は18日、北京冬季五輪での人権侵害を指摘し、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との会談を要求した。
北京冬季五輪では、フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15、ROC)が団体でチームの優勝に貢献した後に昨年12月にドーピング違反があったことが発覚。スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって個人戦出場が認められ、ショートプログラムでは首位に立ったが、17日のフリーでミスや転倒を繰り返し、結局4位に沈んだ。
ワリエワはフリー演技終了後、両手で涙を隠しながらリンクを離れたが、コーチを務めるエテリ・トゥトベリゼ氏が「なぜ何もしなかったのか。私に説明して。なぜ完全に戦うのをやめたのか。アクセルの後、諦めていた」と、同選手を問い詰める一幕があった。バッハ会長はこれについて、「慰めたり、手を差し伸べようとしてると言うより、冷淡な雰囲気や遠ざける感じがした」などと批判していた。
SRCの取締役代理は書簡で、「このケースは、アスリート、特に子どものアスリートをしばしば、彼らの身体的・精神的健康を犠牲にしてメダルを優先させるという耐えがたい立場に追いやる野心的な権力のシステムを改めて浮き彫りにした」とコメント。
中国共産党の元高官と性的関係にあったと告白した女子テニスの元ダブルス世界ランク1位、彭帥さん(中国)の問題も含めてIOCの対応に疑問を呈し、「今大会は、IOCが人権を完全に無視した大会として記憶に残ることだろう。北京大会という人権における大惨事を考えれば、IOCは単純に通常通りの業務に戻るということはできない」と述べた。