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焦点:大義と連帯と目的と、外国人義勇兵がウクライナに求めるもの

発行済 2022-03-09 12:53
更新済 2022-03-09 16:28
© Reuters.  3月7日、ウクライナに到着した外国人志願者の一部は、「大義」に惹かれたと話す。写真は5日、リビウの駅で前線に向かう列車を待つベン・グラントさんら英国からの義勇兵(202

Andrew R.C. Marshall

[リビウ(ウクライナ) 7日 ロイター] - マイケル・ファーコルさん(29)は、かつて米陸軍の工兵だった。そして、ローマで考古学を学んでいた時にウクライナ大統領による外国人部隊への志願の呼びかけを耳にした。

ファーコルさんはその数日後には、ウクライナ西部の都市リビウに設けられた新兵採用オフィスに出向き、前線でパラメディック(救急救助隊員)として働く希望を伝えていたという。

「負傷者のトリアージを担当したいと伝えた」と、ファーコルさん。戦闘経験は無い。「フィンランドから来た奴もいた。『とにかくロシア人をやっつけたい』と言っていた」

ウクライナは、外国からの志願者による「国際」外国人部隊を設立した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナへの支持を示すために、「ウクライナ人と肩を並べてロシアの戦争犯罪者と戦う」ことを世界各国の人々に公式に呼びかけている。大統領は先週、1万6000人以上が志願してきたと述べたが、到着済みの人数については明らかにしなかった。

ウクライナに到着した外国人志願者の一部は、「大義」に惹かれたと話す。数十年に一度しか起きないような民主主義と独裁体制による決戦で、ロシアの侵攻を止めるという大義だ。他方、ウクライナでの戦争は、自国政府から評価されなくなった戦闘スキルを活用する機会を与えてくれる場だと感じて志願した人々もいる。こう考える志願者の多くは、イラクやアフガニスタンでの従軍経験者だ。

ロイターは、外国人志願者やこの取り組みの関係者20人にインタビューを行った。ウクライナが志願者の審査や装備の供与、配備に苦戦しているという指摘も出てきた。

戦闘で鍛えられた従軍経験者と並んで、ほとんど、あるいはまったく戦闘経験のない人々も参加しようとしている。ロシア軍による苛烈な砲撃がたえまなく続く戦闘地域では、こうした人々にできることは限られている。英軍での戦闘経験があると称する男性は、こうした志願者は「弾除けにしかならない」と揶揄する。

リビウで新たに到着する外国人志願者の対応に当たるウクライナ当局幹部のロマン・シェペリャク氏は、外国人戦闘員を受け入れ、訓練して配備するための体制はまだ発足したばかりであり、今後流れがもっとスムーズになるだろうと語った。ウクライナ国防省(修正)はコメントを控えた。

ロシアは2月24日、ウクライナを非軍事化し危険なナショナリストを拘束するための「特別軍事作戦」と称し、ウクライナ侵攻を開始した。ウクライナ正規軍は規模の点でロシア軍に圧倒されているが、かなりの抵抗を見せている。

英陸軍の精鋭であるパラシュート連隊出身というある元兵士によれば、ウクライナで戦うために到着した外国人志願者の中には同連隊の出身者が数十人含まれている。さらに数百人が後に続くだろう、とこの元兵士は話した。ロイターではこの数字の裏付けを取ることができなかった。

単に「パラ」と呼ばれることも多いパラシュート連隊は近年、アフガニスタンとイラクで参戦している。この元兵士は「全員きわめて練度が高く、多くの機会で実際の戦闘を経験している」と話す。ウクライナ危機は彼らに目的と連帯感、そして「彼らが得意とすること、つまり戦闘の機会」を与えてくれるという。

前出のファーコルさんによれば、彼の出身地である米シカゴには、ウクライナ系の人々がたくさん住んでいたという。彼がキエフ行を決めたのは、「力になりたい」と考えたからだ。

ファーコルさんは5日、前線に向かう列車に乗ろうとリビウ駅にやって来た。あふれる避難民をかき分けつつ、「正直なところ、少しナーバスになっている。しかし一方では、自分のためではない、とも思う。いま苦しんでいる人々のためだ」と語った。

<「銃あり、どこでも参上」>

人によっては、どれほど遠く離れた国からであろうと、ウクライナにたどり着くまでの旅程はさほど問題ではななかった。だが防弾ベストやヘルメットその他の装備を持参せずにやって来て、ウクライナ国内での調達に苦労している人々もいると、ロイターが取材した複数の外国人戦闘員は明かした。

従軍経験者の中には、フェイスブックやワッツアップ上に作られた「Have Gun Will Travel(銃あり、どこでも参上)」などの名称の招待者限定グループで、装備や兵站についての情報を共有する人もいる。こうしたグループには、防弾ベストや暗視ゴーグルといった装備を求める訴えや、狙撃手経験があったり、西側諸国が提供する最新兵器の使用法をウクライナの兵士に教えられたりする外国人の軍出身者を求める声が寄せられている。

ウクライナでは男性国民の大規模な動員が進み、志願兵は数多く集まっている。不足しているのは、「ジャベリン」や「NLAW」といった対戦車ミサイルの操作方法を知るスペシャリストだ。きちんと使うには、正規兵でも数ヶ月の訓練が必要となる。

クルーガーと名乗る元英軍兵士は、たとえ戦闘経験があってもウクライナの戦場では苦労するかも知れない、と警告する。

アフガニスタンでの従軍経験があり、他の兵士の訓練にも当たったというクルーガーは、「戦争見物のつもりでここに来たなら、帰った方がいい。前線に向かったら、戦争の現実に酷く打ちのめされるだろう」と話した。

リビウに到着した外国人志願者は、半ば要塞化された地域行政庁舎に案内され、シェペリャク氏による書類審査を受ける。シェペリャク氏は、この地域の国際技術支援・協力局のトップを務める。同氏は、戦闘参加を志願する外国人に対応する体制がまだ十分に整っていないことを認める。

ロイターが取材に訪れた4日、シェペリャク氏のオフィスには6人の外国人が来ていた。ミシャルと名乗るポーランド軍出身者と、たくさんのタトゥーを入れたバートと名乗るオランダ出身の大男もいた。2人ともフルネームは教えてくれなかった。

シェペリャク氏はロイターに対し、到着する外国人はますます増えていると語った。「彼らが外国のために尽くしたいという願いと信念をこれほどまでに抱いているのだとすれば、ただごとではない。彼らは重要な存在だ」

シェペリャク氏は、自分がやっているのは書類審査だけで、戦闘経験については判断していない、と語る。その部分は書類審査後に志願者が送られるリビウ郊外の軍事基地で評価される。採用されてウクライナ軍に編入された志願者は、他の正規兵と同等の給与を与えられるという。

一部の外国人志願者たちは、ロイターの取材に対し、公式の手続きを経ずに東部の前線に直接向かうと話した。前線に到着してからウクライナ軍から武器の支給と指示を受けたい考えだという。

<遅れる出発>

一部志願者は、ロジスティクス面の問題からウクライナ入りを遅らせている。

ニューヨーク市で医療関係のスタートアップ企業を営む資産家のアンソニー・カポネ氏は、ウクライナ行きを希望する元兵士やパラメディック数百人に資金を提供している。だが、「ウクライナ軍が義勇兵部隊への参加者の入隊プロセスを改善させるまで、もう1週間待つ」ために、彼らの出発を遅らせたという。

カポネ氏によれば、これまでのところ、同氏が資金援助する志願者のうち隣国ポーランドに到着した者は「少数」にとどまっている。カポネ氏は、ビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン」に資金援助のメッセージを投稿したとき、反応するのは10ー15人程度だろうと考えていた。だが、「すでに約1000人に達している」という。

カポネ氏は、資金援助の対象としているのは、軍への在籍証明を同氏自身が確認した元兵士か、救急外傷治療に携わっている現役のパラメティックだけだと話す。

カポネ氏によると、連絡してきた人の内訳は約60%が米国、30%が欧州諸国、残りは少なくとも25カ国の出身者で、コロンビアや日本、ジャマイカといった遠方の国までいる。また、大半は元兵士で、残りは救急隊員や救命救急部門の看護師だ。彼らは「一度も訪れたことすらない国を守ろう」という意志を持っているという。

米政府は、ロシア軍との戦闘を目的とした市民のウクライナ渡航について自制を呼びかけている。英国など、さらに強い警告を発している国もある。だが、カナダやドイツなどの諸国は自国民の参戦を認めている。

<キエフのコネを頼りに>

3日、リビウ中心部。ロシア語を話すシグと名乗るがっしりとした体格のカナダ人は、ポーランドで購入してリビウまで運転してきたミニバンの後部座席に、装備を詰め込んだバッグをいくつも積み込んでいた。

あちこちに医療器具を収納した防弾ベストを着込んだシグは、ふだんは民間のパラメディックとして働いていると語った。

シグは仲間4人連れで、そのうち1人は旧ソ連の共和国だったジョージアで生まれ、「父祖の代から」ロシア人と戦ってきたと話す米国人だ。

シグが車に積み込んだバッグには、医療用品や「MRE」と呼ばれる軍用の戦闘糧食など、数百キロ分もの装備が入っている。シグによれば、彼のチームはリビウでウクライナ人ボランティアの訓練を1日手伝った後、前線に直行する予定だという。

「キエフに知り合いがいて、手を貸してくれるだろう」とシグは言う。

6日、リビウ駅の乗車券売り場の外では、軍服を着た英国人男性のグループがキエフ行きの列車を待っていた。彼らは意気軒昂で、自国のために戦おうという男たちに感謝するウクライナの避難民たちと拳を突き合わせ、握手を交わしていた。

グループのリーダーはベン・グラントさん。エセックス出身の大柄な英国人で、英海兵隊で従軍経験があり、イラクでのセキュリティアドバイザーとしての任期を終えたばかりだと話す。自分たちが独立して行動するのか、ウクライナ軍部隊の一部として配備されるかは決まっていないと話した。

ウクライナ軍兵士について、グラントさんは「彼らは強そうだ、本当に。彼らと肩を並べて戦うことを光栄に思う」と語った。

(翻訳:エァクレーレン)

*バイラインを修正して再送します。

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