[ドミトリフカ(ウクライナ) 1日 ロイター] - ロシア軍とウクライナ軍の激しい戦闘が続く中、1日はロシア軍が首都キーウ(キエフ)の周辺地域から後退し、ウクライナ軍はより多くの地域を奪還した。
ただ、ロシアはウクライナがロシア西部ベロゴロドの燃料貯蔵庫を攻撃したと非難したほか、ウクライナはロシア軍によるオデーサ(オデッサ)の重要インフラに対する攻撃を未然に防いだとするなど、緊迫化した情勢が続いている。
<ロシア軍、キーウから後退 近郊では戦闘継続>
ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は「ウクライナ軍が(キーウの)北西部および北東部の両地域で敵軍を追い払い、キーウから遠ざけた」とし、ロシア軍が首都キーウから後退していると明らかにした。軍の一部はウクライナ東部での戦闘に向かったとしている。
当局者によると、ウクライナ軍はキーウ北部のブチャとイヴァンキフを奪還。ウクライナ軍も、近隣のボロディアンカが解放されたとし、同地で撮影したとする写真を公開した。
ただ、キーウ近郊の一部地域では依然として激しい戦闘が続いており、キーウの西約35キロのドミトリフカでは、破壊された戦車からなお煙が立ち上り、付近の路上にはロシア兵少なくとも8人の遺体が横たわっていた。
<オデッサにも攻撃>
ウクライナ南西部オデーサでは住宅地が3発のミサイル攻撃を受け、怪我人が発生。オデッサ州のマルチェンコ知事によると、ミサイルはロシアが2014年に併合したクリミア半島に設置されているイスカンダル・ミサイルシステムから発射された。
また、ウクライナ軍は オデーサの重要インフラに対するロシア軍の攻撃を未然に防いだと表明。ロイターはこの情報を確認できていない。
<ロシア西部べロゴロドの燃料貯蔵施設で火災>
ウクライナに近いロシア西部べロゴロド州のグラドコフ知事はこの日、越境してきたウクライナの軍用ヘリコプター2機が低高度からべロゴロド市内の燃料貯蔵施設を攻撃したと対話アプリ「テレグラム」で明らかにした。
ロシアが2月下旬にウクライナに侵攻して以来、ウクライナ側によるロシア領への空爆が指摘されたのは初めて。
ウクライナ国家安全保障・国防会議のダニーロフ書記は攻撃を否定。ウクライナ国営テレビで、「ロシアは何らかの理由でウクライナが攻撃したとしているが、われわれの情報に基づくと現実と一致しない」と述べた。
べロゴロドはロシア軍の重要な兵たん拠点の一つ。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、この件に関してプーチン大統領に報告されたとし、「交渉継続に快適な条件だと受け止めることはできない」と指摘。ロシアはウクライナとの和平交渉に影響が及ぶ可能性があるとの見方を示している。
<マリウポリの人道回廊開かれず>
ロシア国防省は3月31日、ウクライナ南部マリウポリからザポロジエへの人道回廊を4月1日に開放すると発表。
ただマリウポリ市長の側近はこの日、ロシア軍に包囲された同市に入ることができない状況で、脱出することも「非常に危険」との認識を示したほか、ドネツク州のキリレンコ州知事は「ロシアは人道支援物資の輸送を可能にすると確約したにもかかわらず、実施できていない」と「人道回廊は基本的に開かれていない」と述べた。
赤十字国際委員会(ICRC)は、民間人を避難させるためにマリウポリに向かっていたICRCの車両が先に進めなくなり、ザポロジエに戻らざるを得なかったと明らかにしている。
ウクライナ大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官は1日に合計6266人が人道回廊を通って避難したと表明。このほか、ウクライナとロシアが捕虜交換を行い、86人のウクライナ兵が解放されたと明らかにした。何人のロシア兵が開放されたかは明らかにしなかった。