[キーウ(キエフ) 25日 ロイター] - 米国は25日、ロシアがウクライナで核兵器使用に踏み切った場合、「破滅的な結果」がもたらされると警告した。一方、ロシアのラブロフ外相は親ロシア派勢力が住民投票を行っているウクライナ東部と南部の地域をロシアが編入すれば「国の完全な保護下」に置かれると述べた。
親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州、南部のへルソン州とザポロジエ州の一部地域で行われているロシアへの編入を問う住民投票はこの日が3日目。ロシア議会は数日中に編入手続きを行う可能性がある。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はNBCのテレビ番組でロシアが核兵器を使用して「一線を越えた場合、ロシアに破滅的結果がもたらされる。米国は断固たる対応を取る」と強調した。
プーチン大統領は21日、第2次世界大戦以来初めてとなる軍の部分動員令に署名するとともに核兵器の使用を示唆した。
ロシアのラブロフ外相は24日の記者会見で、ウクライナの併合地域を防衛するために核兵器を使用する根拠があるか問われ、ロシアの領土は将来編入する地域を含めて「国家の完全な保護下にある」との認識を示した。軍事ドクトリンの核兵器使用に関する方針に言及し「ロシアの法律、ドクトリン、概念、戦略全てが全領土に適用される」とした。
一方、トラス英首相は25日放送されたCNNテレビのインタビューで「われわれはロシアのプーチン大統領による恫喝に耳を貸す必要などなく、対ロシア制裁とウクライナへの支援を続けていかなければならない」と訴えた。
ロシアの通信各社は24日、ロシア議会下院が29日に住民投票が行われている地域の併合法案を審議する可能性があると報じた。プーチン大統領が30日に議会で演説する準備しているとの情報もある。
ウクライナ東南部の親ロシア派支配地域は国の領土の約15%を占め、ポルトガルの面積にほぼ匹敵する広さだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、複数の戦闘地域で前向きな成果が出たと述べ、東部ドネツク州、東部ハリコフ州、南部へルソン州、南部ミコライウ州、南部ザポロジエ州といった地域を挙げた。