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今回の日銀のスキームチェンジは巧妙だったが・・・

発行済 2016-09-26 08:01
更新済 2016-09-26 08:33
今回の日銀のスキームチェンジは巧妙だったが・・・
先週行われた金融政策決定会合で、日銀は金融緩和強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決めた。
一言でいうと、金融緩和策のスタンスを量から質へと変えたものだ。

 日銀は、長期金利についてゼロ%程度を目標にするとともに、これまで年間約80兆円としていた国債買い入れの増加額を「おおむね現状程度をめど」にするという表現に変えた。

 これは、市場から買い入れる国債について、このまま行くとあと2、3年程度で限界に達する懸念があったが、その懸念に先回りして答えた格好だ。
つまり今後国債の買い入れが一時的に減少することがあってもそれは市場の状況によるものであって、「テーパリングではない」という解釈が成り立つ余地を作ったといえよう。

 量についての問題をかわすために打ち出した、日銀が長期金利まで操作しようという「長短金利操作付き」というのは驚くべき政策だ。
異次元緩和がさらに異次元に入った感がある。
今回は実施されなかったが、マイナス金利の深掘りも当然視野に入っているだろう。

 日銀はまた、物価目標について2%超を安定的に実現するまで金融緩和を続けることとした。
とにかく2%を超えるまで異次元緩和を続けるという、黒田総裁の気合が示されたコミットメットといえよう。
最近優勝した広島カープの黒田投手の男気が話題になったが、こちらの黒田総裁の男気も尋常ではない。

 ただ、日銀が金融緩和政策を開始してから3年が経過し、物価目標達成は孤軍奮闘する日銀の金融政策だけでは困難なことがはっきりした。
物価目標の達成には、やはりアベノミクスの第三の矢(大胆な規制緩和・構造改革)が飛ぶことと、原油価格を含めた海外情勢の好転が不可欠なのである。

 これらがなければ、日銀は黒田総裁の任期中はもちろん、10年、20年、あるいは永遠に緩和を続けなければならなくなるだろう。

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