米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した9月20-21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表した。
この議事録で、利上げを見送った決定が「僅差」だったこと、数人のメンバーが比較的速やかな利上げが適切であると指摘するなど、メンバーの見解が見解が依然大きく分かれたことが明らかになった。
メンバーは最近、利上げの根拠が強まったとの見解で概ね合意したが、多くが引き続き労働市場にたるみが存続していること、インフレが引き続き委員会の目標である2%を下回ったこと、賃金や物価に上昇圧力がほぼ見られないことを理由に、目標に向けた更なる進展の証拠が見られるまで待つことが適切であるとの見解が大半を占めた。
【FOMC議事録のポイント】
■9月の利上げを見送った理由:
多くのメンバーが労働市場に依然たるみが存続していること、インフレ圧力はほとんど見られないと指摘。
大多数のメンバーは「リスクは均衡している」と判断したが、「リスクが下方に傾斜している」と指摘したメンバーもいた。
■一方で、数人のメンバーが利上げを主張:
一部メンバーは、労働市場の改善や経済の強化が継続した場合、比較的速やかな利上げが必要だと指摘した。
■反対票に投じた理由:
ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁の3メンバーはFF金利誘導目標の25ベーシスポイントの引き上げを主張。
利上げを過剰に長く見送ることは失業率を長期の正常値以上に引き下げ、いずれ急激な利上げを強いられることになると主張。
また、最近のデータが委員会の見通しに達した中、利上げを引き続き見送ることでFOMCの信頼が損なわれる可能性に懸念を表明した委員もいた。
■close call、見解の相違:
一部メンバーは、労働市場の改善や経済の強化が継続した場合、比較的速やかな利上げが必要だと指摘した一方、他のメンバーはインフレが確かに2%に上昇するさらなる証拠が必要だと主張し利上げを見送る必要性を強調。
また、利上げが正当化される状況を市場に明確に伝達する必要があると主張したメンバーもいた。
金利先物市場での9月時点での利上げ確率は10%前後に過ぎなかった。
サプライズを好まないFOMCは政策調整を実施する場合、市場が少なくとも60-70%織り込んでいることを条件にしている。