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ケネディクス Research Memo(6):商業施設やホテル、インフラ(太陽光発電所)など新規分野が順調に立ち上がる

発行済 2017-03-30 15:05
更新済 2017-03-30 15:33
ケネディクス Research Memo(6):商業施設やホテル、インフラ(太陽光発電所)など新規分野が順調に立ち上がる
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■成長戦略

1. 中期経営計画
ケネディクス (T:4321)は、2015年12月期から3ヶ年の中期経営計画を推進してきた。
「ケネディクスは不動産の限りなき可能性を切り拓きます」というミッションステートメントの下、自ら不動産を所有せず(グループで組成・運用するファンドが保有)に、安定的な収益力を追求する「ケネディクスモデル」の確立に取り組み、いよいよ2016年12月期から本格稼働のフェーズに入ってきた。
a) アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、b) 共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、c) 財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求を重点施策として、最終年度である2017年12月期には、ベース利益4,000百万円、3年平均ROE 8.0%の実現を目指す内容となっている。


(1) アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長
引き続き、受託資産残高の成長を目指す。
特に、市場拡大が見込めるヘルスケア分野やインフラ分野等、新たな対象資産への取り組みを強化するとともに、ノンアセットの不動産関連サービスの拡大や受託資産の価値向上につながるサービスの提供などにも注力する方針である。
加えて、投資家の開拓や海外不動産投資など海外展開の推進、運用力とサービスの質向上の基本となる事務管理体制の更なる強化についても掲げている。


(2) 共同投資を中心とする不動産投資事業の推進
顧客投資家との共同投資の推進を図る方針である。
特に、同社ファンドビジネスの成長に資する投資として、商業施設及びヘルスケア関連施設への重点投資を目指す。
また、投資ポートフォリオのモニタリングとリスク管理の強化、市場の変化を先取りした資金アロケーションにも取り組む。


(3) 財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求
単体有利子負債水準の健全なコントロールや不動産投資と自己資本の健全なバランスの確保により財務の健全性の更なる強化を図るとともに、ベース利益に基づく配当の継続や機動的な株主還元に向けた内部留保の充実にも取り組む。


2. 成長戦略の進捗
(1) 開発事業
a)ホテル開発ファンド
需要が拡大しているホテルの開発案件については、六本木ホテル案件(Re-Seed機構との開発ファンドを組成)が2017年3月に竣工する予定であるほか、同社単独の案件として、銀座(2018年12月竣工予定)及び新浦安(2017年末竣工予定)でのプロジェクトが進行中である。
また、インバウンド需要に対応するため、オペレーターを設定した宿泊特化型ホテルを対象としたファンド組成により、札幌(2018年5月竣工予定)や宮古島(2017年11月竣工予定)、名古屋(2018年1月竣工予定)でパイプラインの拡充を進めている。
プロジェクト規模は開発6案件合計で500億円程度を予定している。


b)商業施設への取り組み
ケネディクス商業リート投資法人との共同出資案件である習志野台(船橋市)の既存1件に加えて、矢作町(千葉市、2017年3月竣工予定)、横浜市(2017年10月竣工予定)、ときわ台(板橋区、2017年8月竣工予定)の開発3件を進めており、プロジェクト規模は合計で200億円程度となる予定である。


(2) ファンド組成
a)インフラファンド
自然電力(株)との共同により再生可能エネルギー発電所へ投資するファンド(ケネディクス自然電力ファンド)を組成すると、2016年9月には第1号案件として4件の太陽光発電所を投資対象(受託資産残高約20億円、合計パネル出力6.1MW)とする出資契約をファンド参加投資家との間で締結した。
本ファンド向け資産として複数の太陽光発電所プロジェクトについての優先交渉権も獲得済である。
新たなディールソースの獲得や新資産の発掘により、中期的には受託資産残高1,000億円程度を目指す。


b)物流施設ファンド
国内最大規模の物流不動産特化企業である(株)シーアールイー(以下、CRE)と資本業務提携(CRE株式の15%相当を取得)した。
不動産ファンド事業における協業、CREとの物流施設の共同開発、CREロジスティクスファンド投資法人の上場及び同社のノウハウ活用による成長を目指す内容となっている。


c)商業施設ファンド
伊藤忠商事 (T:8001)との業務提携により、消費者ニーズの高い生活密着型商業施設の開発などを目的とするファンドを組成(2016年8月)した。
ケネディクス商業リート投資法人への物件供給パイプラインの強化に狙いがある。


d)ホテル開発
みずほ証券(株)との初のタイアップにより、国内事業法人を中心としたホテル開発ファンドを組成した。


e)不動産再生
三菱UFJリース (T:8593)とMUL不動産投資顧問(株)(同社出資比率33.4%)を設立した(2016年4月)。
不動産再生投資に関するアセットマネジメント事業を展開することにより、AMプラットフォームの拡大とバリューアップ投資の強化につなげる狙いがある。


(3) 海外展開
a)アジア
2016年10月に、AIRA Capital(タイの上場金融グループ)の不動産開発会社であるAIRA Property(AIP)へ20%の出資を実行し、タイにおけるREIT組成・運用に向けた足掛かりをつけると、2016年12月には、AmanahRaya REIT(マレーシアの上場REIT)の投資口15%とその資産運用会社であるAmanahRaya-REIT Managers株式49%の取得契約を締結し、日本企業として初のマレーシアREITへのスポンサー参加を実現した。
成長の期待できるASEAN地域で、「ケネディクスモデル」の展開を目指す。


b)米国西海岸の賃貸住宅(Multifamily)のファンド組成
将来的なファンド組成を念頭に置き、米国西海岸(シアトル近郊)に所在する安定稼働の賃貸住宅(Multifamily)への投資を行った。
中期的には受託資産残高を1,000億円程度に拡大する方針である。


(4) その他
「民泊」拡大を見据えた先行投資
民泊需要の拡大による投資機会を見据え、スペースデザインと共同で賃貸住宅(東京都中央区)への投資を行った(2016年8月)。
また、渋谷区でも新たにサービスアパートメントの開業を予定している(2017年3月予定)。
スペースデザインによるサービスアパートメント業務拡大に向け、「民泊」新法との親和性による収益機会の追求に取り組んでいる。
また、将来的には系列REITとの協業可能性も検討しているようだ。


3. 長期ビジョン
同社は、さらに「Kenedix Vision 2025」と銘打ち、10年後のビジョンとして、受託資産残高4兆円、グループ時価総額2兆円(2016年12月末実績は6,506億円)、ROE15%を掲げている。
注目すべき点は、総資産の規模や財務レバレッジ(有利子負債比率)を現状から大きく拡大することなく、受託資産残高を積み上げることで収益性(資本効率)を高める方向性が示されているところであり、まさに「ケネディクスモデル」ならではの独自の成長シナリオとなっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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