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2018年3月期についてワコム (T:6727)は、売上高76,800百万円(前期比7.7%増)、営業利益1,800百万円(前期は1,171百万円の損失)、経常利益1,740百万円(前期は870百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期利益1,130百万円(前期は5,534百万円の損失)と増収・黒字転換を予想している。
2018年3月期予想の前提となる為替レートは、ドルが110円、ユーロが118円としている。
2017年3月期実績はドルが109.03円、ユーロが119.37円だった。
為替感応度は、ドルの場合、1円の変動で売上高で520百万円(円安メリット)、営業利益で30百万円(円高メリット)としている。
またユーロの場合については、1円の変動で売上高が140百万円、営業利益が100百万円(ともに円安メリット)としている。
事業セグメント別では、ブランド製品事業について同社は、売上高49,200百万円(前期比12.1%増)、営業利益8,100百万円(同42.5%増)を予想している。
主力のクリエイティブビジネスにおいて、モバイルやディスプレイの新製品が本格的に浸透するなか、売上げを伸ばし、全体をけん引すると期待している。
ペンタブレットについては、前期同様、新興国市場での急速な拡大で台数を伸ばすとみているが、平均価格は下落を予想している。
コンシューマーはデジタル文具の新製品効果などで回復を予想している。
テクノロジーソリューション事業の業績は、売上高26,900百万円(前期比0.5%増)、営業利益2,260百万円(同7.5%減)と微増収ながら減益を予想している。
タブレット向け(従来のノートPC向けも含む)は順調に推移すると期待する一方、スマートフォン向けが、前期に生じたサムスン電子のGalaxy Note7向け出荷中止の影響により、次期モデル向けの出荷が期待できない上半期の売上高が通常よりも低水準に推移すると見込まれることから、今回の想定に至ったとみられる。
弊社では、2018年3月期について、新製品の販売動向とそれによる売上高の動向に加え、販管費などに関するコストコントロールの進捗にも注目していきたいと考えている。
前述のように、同社は利益重視経営への転換を図り、コスト構造の改善を図るとしている。
コストの中には削減に一定の時間を要するものもあるが、そうした制約がある中で、2018年3月期において同社がどの程度コスト削減を実現したかという点は、次期中期経営計画の達成可能性や同社の経営の質の転換といったものを判断する1つの手がかりになると考えるためだ。
より具体的には、ビジネスユニット別組織体制の移行がスムーズに進まず二重コストを発生させていたような部分が、どのように改善されて、販管費等の削減にどの程度結びついたかを注視していきたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)