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天昇電気工業 (T:6776)は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。
その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。
製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約55%)。
今後は、内需向けの製品を拡充する方針。
長い間、業績低迷に苦しんだが、2017年3月期は大幅増益となり、9年ぶりに復配(年間3円)した。
古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2017年3月期は、高付加価値製品の伸び、コスト削減効果の示現で大幅営業増益
2017年3月期の連結業績は、売上高15,367百万円(前期比1.4%増)、営業利益1,279百万円(同80.3%増)、経常利益1,271百万円(同115.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益964百万円(同113.8%増)となった。
高付加価値製品の比率が高まったこと、以前から進めてきたコスト削減策の効果が出始めたことから売上総利益率は22.4%(前期18.4%)へ大きく改善、その一方で販管費は4.0%増にとどまったことから営業利益は大幅増となった。
2. 進行中の2018年3月期は先行き不透明感から減益予想だが、上方修正の可能性はある
2018年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の16,000百万円、営業利益で同28.1%減の920百万円、経常利益で同32.4%減の860百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同39.8%減の580百万円と予想されている。
前期好調であった高付加価値製品の動向が不確定であること、売上高比率の高い自動車業界の先行きが不透明であること、人材・設備等に積極的に投資を行う予定であることなどから減益が予想されているが、現在の予想は、これらの不透明要因が最悪となった場合を想定してのもので、かなり控えめと言えそうで、上方修正の可能性はある。
3. 前期は9年ぶりに復配(年間配当3円)、今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は過去9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間配当3円の復配を実施した。
経営陣は、「復配したとはいえ、決して高い水準ではないので、今後も業績を安定させ少しずつだが増配をしたい」と述べており、今後の業績動向や配当水準に注目したい。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。
技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2017年3月期は80.3%の営業増益、9年ぶりに復配
・今後は内需向け製品の拡充で収益基盤の安定化を図る。
配当動向も要注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)