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アーバネット Research Memo(1):足元の業績は好調に推移。安定収益源の確保を目的としてホテル事業へも進出

発行済 2017-09-26 15:31
更新済 2017-09-26 16:00
アーバネット Research Memo(1):足元の業績は好調に推移。安定収益源の確保を目的としてホテル事業へも進出
3242
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■要約

1. 会社概要
アーバネットコーポレーション (T:3242)は、東京23区内で駅から徒歩10分以内での投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。
用地取得からマンション開発、そしてマンション販売会社等への1棟販売を手掛けており、設計・開発に特化しているところに特徴がある。
設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、機能性やデザイン性に優れた「ものづくり」や、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。
都心における不動産投資市況にはやや過熱感がみられるものの、従来からの不動産投資家に加え、将来の老後生活に不安を抱える新たな若年層の個人投資家や海外投資家の参入、相続税の実質増税に対応する富裕層など、いくつもの追い風により業績は好調に推移している。
また、自社保有の収益物件によるストックビジネスの強化に取り組んでいるが、新たにロードサイド型のホテル事業へも進出した。
持続的な成長に向けて、安定収益源の確保や事業ポートフォリオの拡充に狙いがある。


2. 2017年6月期の業績
2017年6月期の業績は、売上高が前期比0.5%増の17,788百万円、営業利益が同20.6%増の2,419百万円と微増収ながら大幅な増益を実現した。
期初予想に対しても、売上高がほぼ計画どおりである一方、利益面では大きく上回る着地となっている。
投資用マンションの販売戸数が12棟587戸(前期比71戸減)と前期を下回ったものの、依然として高い水準を維持したことに加え、そのうち4棟232戸が1棟一括直接販売であったことが販売単価を押し上げ、大幅な増益に寄与した。
なお、ホテル事業への進出については、まずは既存6施設の取得及び賃貸からスタートしている。
まだ業績貢献は小さいものの、今後は自社開発物件1号店のオープンを目指すとともに、ローリスク・ローリターンの事業として長期スパンにより一定規模へと拡大する方針である。


3. 業績見通し
2018年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比10.1%減の16,000百万円、営業利益を同38.0%減の1,500百万円と減収減益を見込んでいる。
業績が一旦後退するのは、販売戸数が前期を下回る想定となっていることや、前期の利益率を高める要因となった1棟一括直接販売がなくなることが理由である。
もっとも、販売戸数自体は高い水準を維持(過去3番目の水準)する想定であり、1棟一括直接販売による影響を除けば、依然として好調な業績が継続するものと評価しても良いだろう。
また、2019年6月期については、再び販売戸数の拡大により、増収増益へと向かう見通しである。
弊社では、計画の前提となっている販売戸数が既にほぼ契約済であることから会社予想の達成は可能であるとみている。
むしろ、期初予想に入っていない取引の積み上げにより上振れとなる可能性にも注意する必要がある。


4.今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件やホテル事業など)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸事業等)の強化により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。
特に、既存事業については、アパートなど新しい分野への挑戦や東京23区内での開発エリアの見直しのほか、シニア向けマンションなど新たな需要の取り込み等により、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す戦略と言える。
弊社でも、当面の業績の伸びに結び付くパイプライン(用地仕入れ)の進捗はもちろん、ホテル事業の本格展開に向けた道筋など、次の成長ステージに向けた施策の成果に注目している。


■Key Points
・2017年6月期決算は微増収ながら大幅な増益を実現
・安定収益源の確保(ストックビジネスの強化)を目的としてホテル事業へも進出
・2018年6月期の業績は一旦後退するものの、依然として高い水準を維持する見込み
・2019年6月期は再び販売戸数の拡大により増収増益へ向かう見通し
・既存事業の軸とした事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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