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神戸物産 (T:3038)は2018年1月15日付で2020年10月期を最終年度とする中期経営計画の上方修正を発表した。
2020年10月期の売上高は従前の目標に対して50億円上積みの2,900億円、営業利益は同様に20億円上積みの170億円とし、EPSは350円以上を目標とした。
主力の業務スーパー事業が既存店を中心に好調に推移しているほか、外食事業についても「神戸クック・ワールドビュッフェ」の収益化に目処が立ち、FC展開を積極的に推進していく方向へと舵を切ったことが要因だ。
国内業務スーパーの店舗数については、従前目標と変わらず2020年10月期末に850店舗(2017年10月期末780店舗)と年間23店舗の増加ペースとなるが、ここ数年は30店舗前後で増加していることからすれば十分達成可能な水準と言える。
また、2020年10月期の業務スーパー事業の売上目標については2,500億円と従前から50億円上方修正している。
店舗数の目標が変わっていないため、既存店舗の売上増が上方修正要因となる。
従前は既存店売上の成長率を年率約1%増で見ていたが、足許の既存店売上げ状況を鑑み約2%増に見直した。
商材としてはPB商品の取扱高をさらに増やしていく方針となっており、2020年10月期のPB商品取扱高は800億円と従前から50億円上方修正し、年平均成長率も8.9%と高い成長を見込んでいる。
同社では将来的に、業務スーパーの国内店舗数1,000店舗を目標としている。
地域別で見ると、2017年10月期末時点で関西直轄エリア236店舗に対して、首都圏直轄エリアは204店舗とまだ少なく、首都圏エリアを中心に今後も店舗数の拡大余地は大きい。
また、同社はFC展開しているため、店舗数を増やしていくにはFCオーナーの投資意欲が重要な鍵を握るが、既存店の売上が成長を続けていることも店舗数の拡大に好循環を生み出していると言える。
既存店の売上げが伸びなければ新規出店意欲も削がれるためだ。
食品スーパー業界の既存店売上高は前年比横ばい程度で推移しているが、同社はここ数年2%以上の伸びが続いている。
魅力的な自社商品を開発し、ベストプライスで提供し続けていること、効果的な販促キャンペーンを実施していることなどが要因と考えられる。
このため、今後も既存店の売上成長が続く限り、国内1,000店舗の達成も可能と弊社では見ている。
なお、業務スーパー事業における収益性向上施策としては、PB商品の開発・生産の強化並びに生産子会社の自動化投資による生産性向上、物流体制の見直しによるコスト低減等に取り組むことで、売上高営業利益率をさらに引き上げていく方針だ。
また、M&Aについても良い案件があれば引き続き検討していく方針としている。
一方、神戸クック事業については、「神戸クック・ワールドビュッフェ」事業を中心に2020年10月期までに45店舗まで拡大していくことを目指している。
2019年10月期以降は店舗数拡大による増収効果により利益面でも貢献するものと予想される。
同社は日本最大規模の製販一体体制の確立を目指し、2008年より国内自社工場や自社農場のM&Aを積極的に実施すると同時に、消費者にとって魅力的な自社商品をベストプライスで提供し続けてきたことが、「業務スーパー」の店舗数拡大の原動力となり、高成長を続けてきた要因と考えられる。
今後はこうした戦略に加えて、衛生管理体制の充実や品質管理体制の強化も推進しながら、「安全・安心」の面でも消費者から評価される企業になることで、一段の成長を目指していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)