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クオール Research Memo(7):“マンツーマン薬局”をコアモデルとしつつ、新業態薬局で幅を広げる

発行済 2018-03-08 19:09
更新済 2018-03-08 19:33
クオール Research Memo(7):“マンツーマン薬局”をコアモデルとしつつ、新業態薬局で幅を広げる
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■保険薬局事業の概要と成長戦略

3. 店舗戦略
保険薬局事業におけるクオール (T:3034)の事業戦略上の特徴は大きく2つだ。
1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン (T:2651)やJR西日本 (T:9021)などとの事業提携による新業態薬局の展開だ。


『マンツーマン薬局』と言うのは同社の通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。
その内容は、処方元医療機関とクオール薬局が1対1(マンツーマン)の関係になれる薬局づくりを目指すことを意味している。
マンツーマン薬局では医療と関係のない支出を最小限に抑え、その分を患者のためのサービス向上に投資している。
より具体的には、当該店舗がターゲットとする医療機関(多くは個人医院や中小規模の病院)の診療科目や地域性などに応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。
その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化を初めとする店舗の低コスト構造から生み出される。
同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。
また、マンツーマン薬局のコンセプトは、後述する成長戦略においても重要な切り口となっている。


事業提携による新業態薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。
これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は前述の2社との事業提携に踏み切り、その後もビックカメラ (T:3048)等の異業種との事業提携を逐次推進してきている。


ローソンとの提携では、同社がフランチャイジーとしてローソン店舗を運営し、その中に調剤機能を設置する形態が基本となっている(1店舗だけ他社運営のローソン店に出店する形態がある)。
立地的には市街地が多く、同社は“街ナカ薬局”と位置付けている。


JR西日本との提携では、“駅クオール”店舗をJR西日本の駅構内に出店している。
いわゆる“駅ナカ”出店と言える。
ビックカメラとの提携ではビックカメラ店舗内にクオール薬局を出店している。
ビックカメラは大型ターミナル駅の近辺に出店していることが多く、同社では“駅チカ”出店と位置付けている。
これら以外にも同社は、小田急電鉄 (T:9007)やライフコーポレーション (T:8194)とも協業を行い、新業態薬局の拡大を図っている。


事業提携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、前出の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なることがその理由だ。
前述のようにマンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。
一方新業態薬局は、人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとしている。
これら店舗では在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方せん応需枚数)を期待できる。
マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態によって成長の加速を図るというのが同社の狙いだとみられる。


同社は2017年12月末時点で調剤薬局と病院内店舗等を合わせて、直営712店舗、FC(フランチャイズ)契約2店舗の合計714店舗を全国に展開している。
内訳は調剤薬局が690店、売店が24店となっている。
調剤薬局は基本的に“クオール薬局”をブランド名としているが、M&Aによって取得した薬局の一部は従来の呼称をそのまま用いているケースもある。


同社のクオール薬局を立地・形態別に分類すると、同社及びグループ会社がスタンドアローンで展開するクオールグループ店舗が645店、ローソン内店舗が35店、ビックカメラ内店舗が4店、JR西日本内店舗が6店、病院内売店が24店という内訳となっている(店舗数はいずれも2017年12月末時点、小田急電鉄、ライフコーポレーションとの提携店舗はクオールグループ店舗に含んでいる)。


今後の見通しについて、詳細は成長戦略の項で述べるが、基本的にはスタンドアローンのクオール薬局(グループ企業を含む)を中心に伸びていくとみられる。
ローソン併設型店舗は、調剤薬局としての経営のみならずコンビニエンスストア事業の経営も考慮しながらの出店となるため、現在の事業モデルでの急拡大は難しいとみている。
JR西日本との“駅クオール”も駅ナカ出店が可能な駅数は限定的と考えられる。
ビックカメラ内出店もビックカメラの店舗数を超えて出店することはできない。
新業態薬局の展開の成長ポテンシャルは依然として高いものの、マンツーマン薬局のコンセプトのもと、クオール薬局の拡大スピードがそれを上回るのではないかというのが弊社の考えだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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