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アクセル Research Memo(5):ミドルウェア、暗号技術、機械学習の3領域で23年に売上高20億円を目指す

発行済 2018-06-05 15:08
更新済 2018-06-05 15:20
アクセル Research Memo(5):ミドルウェア、暗号技術、機械学習の3領域で23年に売上高20億円を目指す
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■新規事業について

アクセル (T:6730)の経営課題として、遊技機器市場に依存する収益構造から挙げられてきたが、今回、新たな収益柱と成り得る新規事業を立ち上げ、育成していく方針を明らかにした。
同社が遊技機器向け製品の開発で培ってきた要素技術の中からデータ圧縮・伸長技術を用いたミドルウェア製品(AXIP)や、暗号技術、機械学習領域にターゲットを絞り、新規事業を育成していく。
新規事業の業績目標としては、2023年3月期に売上高で20億円、粗利益で10億円を目指していく考えだ。


1. ミドルウェア(AXIP)
ミドルウェア製品はゲーミング市場にターゲットを絞り、圧縮技術を中心に製品を提供していく計画となっている。
現在はスマホネイティブアプリの開発会社向けに「H2MD」を提供しているが、今後は任天堂 (T:7974)のSwitchなどコンソールゲーム機やブラウザゲーム、インディーズゲームの開発用にも様々なミドルウェア製品を多機能パッケージとして販売することで付加価値を向上し、収益を拡大していく戦略となっている。
2018年4月に超解像IP「GRADIA」※1を発表したほか、同年にAILIA(DNNフレームワーク※2)、VUCKET(ファイル・パッカー※3)、LESIA(H2MDよりも圧縮レートをさらに高めた製品)と相次いで新製品を投入していく予定となっている。
なかでも「GRADIA」や「AILIA」「VUCKET」は同社独自のラインアップとなり、競合との差別化要因になると見ている。


※1 超解像とは、ディスプレイに表示される文字や絵などを拡大した時に、通常はジャギー状(ギザギザ状)になってしまう輪郭部分を滑らかで自然な状態に補正する技術
※2 Deep Neural Networkフレームワークの略。
ディープラーニングの基盤となるソフトウェア。
「AILIA」の特徴はディープラーニングの知識なしに簡単に利用が可能で、物体検出や画像分類、特徴抽出に対応していること。
また、組み込みシステムに移植が可能なほか、Unity(ゲーム開発エンジン)にも対応しているため、様々な用途での採用が見込まれている。

※3 自動実行型の圧縮ファイル・ソフトウェア、VUCKETは画像・音声等の大容量ファイルを1つにまとめる機能だけでなく、ファイルの破損チェックや暗号化等にも対応している。



ビジネスモデルとしては、パッケージ製品として売り切るライセンス販売のほか、ゲームソフトの販売実績に応じて獲得するロイヤリティ収入など、顧客に応じて複数の方式で販売していくことになる。
2023年3月期の売上目標としてAXIP全体で約8億円を目指していく。
ゲーム開発用ミドルウェアの市場規模は年間で数十億円規模と見られ、成長余地は大きい。
競合としてはCRI・ミドルウェア (T:3698)が挙げられる。


2. 暗号技術
暗号技術を用いた事業として、セキュリティ製品とブロックチェーン技術を用いたソリューションサービスの2つの領域で展開していく計画となっている。


(1) セキュリティ製品
セキュリティ製品としては、暗号技術を用いたソリューション「SHALO」の販売を2018年末に開始する予定となっている。
販売はハードウェア及びソフトウェアで提供していく。
ハードウェアによる暗号化ソリューン「SHALO-HL」では、USBメモリ等に暗号システムを格納し、ハードウェアキーとして提供するほか、暗号通貨のハードウェアウォレットやログイン認証用としての販売展開も予定している。
一方、ソフトウェアによる暗号化ソリューション「SHALO-SL」では、暗号技術のライセンスを発行していくことになる。


ターゲットはWindowsやLINUXなど標準プラットフォームを利用するアプリケーションとなり、販売代理店を通じて販売していく格好となる。
2023年3月期の売上目標は4億円強となる。
暗号技術のソリューション企業の競合は主に海外企業となる。


(2) ブロックチェーン事業(子会社の設立を検討)
暗号化技術を用いた事業としてブロックチェーン事業を計画している。
まずは、暗号通貨「モナコイン※1」のマイニングプールである「VIPPOOL※2」の運営権を取得し(現在、協議中)、「VIPPOOL」の運営と「AG6」の開発用に使用していたFPGA※3を用いて自社マイニングを開始する。
マイニングについては「モナコイン」以外の暗号通貨にも対応していく予定となっている。
その後、マイニングハードウェア(FPGAモジュール)の外販や、ブロックチェーン技術を応用したBtoBソリューションの提供、高度な鍵管理システムの提供などを展開していく予定となっている。


※1 2013年12月に誕生した国内初の暗号通貨。
ライトコインがベースでASIC耐性を持つ(ASIC化しても効率が上がらない)ハッシュ関数が採用。
秋葉原等での実店舗での決済にも利用されており、時価総額は約2.35億ドル(2018年4月22日時点)。

※2 2014年2月にサービスを開始した日本最古のマイニングプールで、モナコイン・プールでは国内最大級。
サービスの安定性と日本語サポートが特徴。

※3 ロジック半導体の一種で、後からプログラムを書き換えることができることが特徴。



同事業では、暗号通貨のマイニングによる収益化のみならず、マイニングプールの運営等で蓄積したブロックチェーン技術を活用したソリューション事業を展開していくことが主目的となっている。
2023年3月期の売上目標は6億円強となる。


3. 機械学習
機械学習領域では、IoTエッジデバイスの高度化を実現するため、画像認識を中心とした機械学習技術の研究開発を進めている。
DNNフレームワークの「AILIA」を2018年8月に投入予定のほか、NEDOの「ドメイン特化型IoTプラットフォームの研究開発」及び、ティアフォーとの共同研究成果を有効活用して、事業展開していく方針となっている。
また、CNN※など自動運転システムに必要な要素技術をIP製品として展開していくことも検討している。
2023年3月期の売上目標は1億円強となる。


※Convolutional Neural Network(畳み込みニューラルネットワーク)の略で、機械学習の手法の一種。
画像認識分野で一般的に用いられる。



なお、これら新規事業の開発費用は主に人件費になる。
変動費率も低いことから、売上高が一定水準を超えてくれば利益率も高くなることが予想される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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