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ワコム Research Memo(2):クリエイター向けペンタブレットで世界シェア80%超のトップ企業に成長

発行済 2018-06-12 15:02
更新済 2018-06-12 15:20
ワコム Research Memo(2):クリエイター向けペンタブレットで世界シェア80%超のトップ企業に成長
6727
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■会社概要

1. 沿革
ワコム (T:6727)は1983年に埼玉県上尾市で設立された。
社名は「ワールド」と「コンピュータ」に由来しており、また、「WA」には「人とコンピュータの調和」の意味も込められている。
1984年には世界初のバッテリーレス、コードレスのペンタブレットを発表した。
1987年にはプロフェッショナル用グラフィックス・タブレットの「SDシリーズ」が発売され、米ディズニーに映画制作で使用された。
その後も地道に製品の改良を重ね、クリエイター向けであるクリエイティブ・ペンタブレット市場では、2000年代以降は安定的に80%台の世界シェアを有している。


2002年にはペン・センサーコンポーネント分野(現テクノロジーソリューション事業)に進出した。
これは同社がデジタルペンやコントロールIC、タッチパッド等の部品、モジュールを完成品メーカーにOEM供給する事業だ。
詳細は後述するが、タブレットPCやスマートフォンの市場拡大に乗って急成長を遂げている。


証券市場には2003年4月に日本証券業協会JASDAQ市場に上場した後、2005年12月に東京証券取引所第1部に上場して現在に至っている。



自社ブランドによる完成品の販売と、パーツのOEM供給の2本柱
2. 事業部門と主要製品
同社の製品は “ペンタブレット”と呼ばれるコンピュータ入力用のデバイスだ。
一般的に利用されているマウスを使っても絵や文字を書くことは可能だが、ポインティングの精度が低いため思いどおりの線を描くことは難しい。
そこで筆記具たるデジタルペンとタブレット(石板に由来)を用いて精密な絵や文字を簡単に入力することを可能にした器具がペンタブレットだ。


ペンタブレットの最大の特徴は、正確・精密な描写性だ。
製品によっては筆圧やペンの傾きなども感知してより繊細にタッチを表現できるものもある。
このような特性を生かして、ペンタブレットはコンピュータ上でデザインやイラスト、グラフィックス等を制作する際に利用されている。


同社の事業部門は「ブランド製品事業」、「テクノロジーソリューション事業」の2部門から成る。
ブランド製品事業はワコムブランドでペンタブレットの完成品や入力用ペンなどを、クリエイターや愛好家といったクリエイティブ・ユーザーから一般消費者、あるいはビジネスユース向けに販売する事業だ。
テクノロジーソリューション事業は同社のペンタブレットの部品(デジタルペン、センサー、コントロールIC等)をタブレットやスマートフォンのメーカーにOEM供給する事業だ。
なお、同社は2017年3月期まで、エンジニアリングソリューション事業と称する電気設計用CADシステムの開発・販売事業となっていたが、この他事業は2017年12月1日付で事業譲渡された(2018年3月期決算においては8ヶ月分が寄与)。


ブランド製品事業においては、ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広い製品ラインアップを展開している。
製品区分としてはクリエイティブ・ユーザーを対象とするクリエイティブビジネス、一般消費者向けのコンシューマービジネス、法人向けのビジネスソリューションに分かれている。
収益規模的に中核を担うのはクリエイティブビジネスであるが、これは製品タイプ別にペンタブレット、ディスプレイ、モバイルの3種類がある。
これらの違いを理解することは、競争環境や製品の将来性などを理解するうえでは重要だ。


ペンタブレットはデジタルペンとタブレットで構成される最も基本的な入力デバイスだ。
マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用する。
簡単な構成であることから、プロフェッショナル向けから入門用まで幅広いラインアップとなっている。


ディスプレイはタブレット板が液晶パネルになったもので、液晶タブレットとも称される。
デジタルペンで液晶画面に直接描画できるという点で直感的な入力デバイスだが、OSや記憶装置を持っていないため、本質的にはペンタブレットと同じタイプのPCに接続して使用する製品だ。


モバイルはペンタブレットとタブレットPCが一体化した構成のもので、液晶画面にデジタルペンで描き、そのままデバイスに入力したデータを保存することができる。
一般的なタブレットPCにデジタルペンで入力するのと使い方としては同じである。
しかし一般的なタブレットPCと比べて同社のモバイルはペン入力の専用機としての性能は圧倒的に高いため、ハイエンドのクリエイティブ・ユーザーにおいては本質的に競合しないと考えられる。
一方、それ以下のレベルのユーザーにおいては競合関係がみられ、同社にとってはいわゆるカニバリズムが生じている。


事業区分、製品区分、主要製品別の売上高内訳をグラフに掲げた。
2018年3月期実績ベースでは、ブランド製品事業58.6%、テクノロジーソリューション事業40.9%、その他事業0.5%となっている。
ブランド製品事業の中ではクリエイティブビジネスが全体の49%と特に大きな構成比を占めている。
クリエイティブビジネスは製品別に3種に分類されるが、その中ではペンタブレットとディスプレイが大きな比重を占めている。


部品のOEM供給であるテクノロジーソリューション事業は、2018年3月期実績では全体の41%を占めている。
この事業は顧客企業の商品戦略や販売動向の影響により、上下に大きく変動するという特性がある。
用途別ではスマートフォン、タブレットPC(ノートPC含む)の2つに分けられている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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