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エノモト Research Memo(5):構造改革以降、財務諸指標は改善傾向

発行済 2018-07-18 15:12
更新済 2018-07-18 15:21
エノモト Research Memo(5):構造改革以降、財務諸指標は改善傾向
6928
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■エノモト (T:6928)の業績動向

3. 財務分析
2018年3月期末の総資産は、前期末比3,143百万円増の23,635百万円となった。
流動資産は、株式の発行による現預金の増加と売上債権の増加などにより同2,626百万円増の12,589百万円となった。
固定資産は、設備投資の増加などにより同516百万円増の11,045百万円となった。
負債合計は、仕入債務の増加などにより同759百万円増の8,873百万円となった。
純資産は、利益剰余金の増加や株式の発行により同2,383百万円増の14,761百万円となった。


2018年3月期末の現金及び現金同等物は、前期末比1,663百万円増の4,085百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,522百万円や減価償却費983百万円などの計上により2,012百万円の収入(前期は2,203百万円の収入)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得1,568百万円などにより1,557百万円の支出(前期は769百万円の支出)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入1,199百万円などにより1,175百万円の収入(前期は901百万円の支出)となった。


2014年の構造改革以後、財務諸比率は全般的に改善を続けており、好印象である。
自己資本当期利益率は特別損失が消えた2015年3月期に突出して改善したが、特別利益を除いた傾向は総資産営業利益率や総資産当期利益率と同様で、2016年3月期を除いて改善傾向にある。
2016年3月期の資産収益率の低下は、売上成長が低位にとどまったところに、売上総利益率が低下し販管費率が上昇したことが要因である。
しかし、全般的には、総資産回転率が僅かだが改善を続け、売上総利益率が上昇しているという流れのなかで、資産収益性の改善ペースが保たれている。
成長性は外部環境要因からボラティリティが生じやすいが、健全性は問題のない水準に保たれている。
販管費率が一貫して上昇傾向にあることは、やや課題だと言えるだろう。



悪くない外部環境のなか、やや保守的な印象の売上予想
4. 2019年3月期の業績見通し
2019年3月期業績見通しについて、同社は売上高21,500百万円(前期比2.7%減)、営業利益1,700百万円(同1.5%増)、経常利益1,700百万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円(同4.3%増)を見込んでいる。


スマートフォンやタブレット型端末などモバイル向けコネクタ用部品は、中国メーカーと北米メーカー向けの需要が、ともに当面、現状の高水準を持続する見込みである。
車載向けは、コネクタ用部品がエアバッグなど既存部品向けに緩やかに伸び、IC・トランジスタ用リードフレームも安定した需要が見込まれる。
民生は、LED用リードフレームでは低価格化の影響で日系メーカーの勢いが失われつつあるが、2020年に向けてのインフラや大型ディスプレイなどの需要増加が見込まれる上、「水銀に関する水俣条約」を背景とした水銀灯などに対する規制強化によりLEDへの置き換え需要が発生することが期待される。
外部環境は悪くない状況が続きそうだ。


同社は、2018年3月期に引き続き品質改善と製造コスト低減を目的に生産プロセスの自動化や効率化を推進する一方、金属と樹脂の精密複合加工技術という強みを生かして新規顧客の開拓を積極的に行う方針である。
しかし、売上高は減収予想となっており、確実に見込める需要しか業績予想に織り込んでいない。
検査工程や金型製造など工場における自動化やカイゼン活動による生産性の向上、2015年に開設したフィリピン・カビテ第2工場の稼働率と効率の改善、前期に実施した工場修繕の一巡などにより、営業利益率は改善するという予想になっている。
こうした営業利益予想に比べて、同社売上予想の前提はやや保守的という印象である。



■中期経営計画

1. 中期経営方針
エノモト (T:6928)は、2017年3月期から2021年3月期までの5年間の、事業運営の指針となる中期経営計画を策定している。
中期経営方針として「新たな価値の創造~他社が真似のできないものづくりを追求する~」を掲げ、同社が培ってきた技術力を最大限に活用し、さらに上のステージへ踏み出していくための決意を込めている。
そのため、年度ごとに経営重点テーマを設定しており、2017年3月期は旧来の方法に囚われない「現状打破」、2018年3月期は従前の思考・体質から踏み出す「勇気」、そして2019年3月期は、自信を持って自分の力を発揮する「底力」を掲げている。



各製品群とも中期成長余地は広がりそう
2. 中期成長イメージ
IC・トランジスタ用リードフレームの市場は、産業機械やサーバー向けなどIoT需要の増加や、EV(Electric Vehicle)化・自動運転技術などを視野に入れた自動車の電装化率の上昇を背景に、2015年以降順調に伸びている。
このため、中長期的な出荷数量の年平均成長率は2.7%増(2016年~2022年)と言われており、同社収益も中期的に堅調な成長が予想される。
オプト用リードフレームの市場は、2020年東京オリンピックに向けてインフラなど大型設備投資の増加が予測され、出荷数量の年平均成長率は9.3%増(2015年~2025年、富士キメラ総研推定)と言われている。
このため、品質重視の同社製品に対する需要増加が見込まれることから、中期成長への寄与が見込まれる。
コネクタ用部品の市場は、スマートフォン向け部品の需要変動が大きくなる一方、車載用大型コネクタ部品の需要が順調に拡大していることから、年平均成長率は2.8%増(2016年~2025年、富士キメラ総研推定)と言われている。
このため、同社のエアバッグ関連など車載向けのコネクタも中期的に成長を順調に加速、技術的要求の高さから新規参入が困難な超精密コネクタ部品も受注増加が予想される。
このように、各製品群とも順調な外部環境に支えられていると言え、同社の中期的な成長余地は拡大しそうである。



燃料電池の基幹部品を研究開発
3. 「ガス拡散層一体型金属セパレータ」
まさに「現状打破」し「勇気」と「底力」を持って進めているのが、PEFC(固体高分子形燃料電池)用の新型の「ガス拡散層一体型金属セパレータ」の開発である。
山梨県及び山梨大学との共同開発で、2020年の実用化を目指している。
これまでの経緯は、2014年7月に「水素社会に向けた『やまなし燃料電池バレー』の創成」事業に参画、山梨県及び山梨大学との産・官・学共同事業をスタートさせた。
2015年2月に新型セパレータの開発に成功。
2017年7月には「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(文部科学省支援施策認定取得)の認定を受けた。


セパレータとは水素と酸素の化学反応を利用して発電する燃料電池スタックの基幹部品のことで、同社は、山梨大学の理論に基づいてセパレータの小型化・低価格化を推進している。
現在、汎用ステンレス材にカーボンを主成分としたコーティングを施し高耐食性を実現、さらに、ガス拡散性に優れたカーボンペーパーに代わって、セパレータ自体に廉価なガス拡散層とガスケットの機能を併せ持たせることで部品点数の削減や薄膜化を実現した。
実用化に向けて現在、量産技術の確立や製造コストの削減、生産品質管理体制の構築を進めているとのことである。
実用化すれば、燃料電池車や家庭用燃料電池など社会生活ほか広範に利用されることが見込まれ、「エネルギー革命」と言ってよいほどのインパクトを社会に与えることが予想される。


■株主還元策

エノモト (T:6928)は、株主に対する利益還元を経営の最重要政策と位置付けており、将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続を重視し、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としている。
2018年3月期の期末配当は、期初の業績予想を上回ったため、期初予想の1株当たり25円から1株当たり35円(普通配当30円、東京証券取引所市場第2部上場記念配当5円)に修正された。
2019年3月期については期末配当30円を予定している。
なお、2016年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合、2017年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施した。



■情報セキュリティ
同社は、「情報セキュリティ基本方針」を制定し、情報セキュリティ推進責任者を中心に、全社的な情報漏えいのリスク回避に努めている。
なお、事業会社向けの取引が主体のため、同社の扱う個人情報は限定される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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