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タマホーム Research Memo(5):注文住宅着工棟数No.1を目指し、事業改革にて新たな事業の柱を構築する

発行済 2018-08-17 15:08
更新済 2018-08-17 15:20
タマホーム Research Memo(5):注文住宅着工棟数No.1を目指し、事業改革にて新たな事業の柱を構築する
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■今後の見通し

2. 新中期経営計画「タマステップ2021」
(1) 「タマステップ2021」の基本方針と経営数値目標
タマホーム (T:1419)は2019年5月期よりスタートする新中期経営計画「タマステップ2021」を発表した。
2018年で創業から20周年を迎えたのを機に、創業者である玉木康裕(たまきやすひろ)会長兼社長が代表取締役会長となり、長男で代表取締役副社長だった玉木伸弥(たまきしんや)氏が代表取締役社長に昇格した。
経営トップの若返りを図ることで、新中期経営計画をより一層強力に推進していくことが狙いとなっている。


中期経営計画の基本方針として、「注文住宅着工棟数No.1を目指し、事業改革にて新たな事業の柱を構築する」ことを掲げており、長期目標として、事業拡大により、2030年までに売上高1兆円を目指すことを打ち出した。
また、中期経営計画の最終年度となる2021年5月期の経営数値目標としては、連結売上高で前期実績比1.43倍の2,400億円、営業利益で同2.58倍の120億円、当期純利益で同3.42倍の70億円とし、営業利益率で5.0%を目指す。
また、注文住宅の受注棟数については2018年5月期実績比1.38倍の1.3万棟、販売棟数については同1.39倍の1.1万棟を目標としている。
年平均成長率で見ると、売上高で12.6%成長、注文住宅の販売棟数で11.6%成長となり、2020年5月期以降、成長率が加速化していく格好となる。


(2) 住宅市場の前提と課題認識
新設住宅市場全体の見通しとしては、人口や世帯数の減少に伴い、長期的に縮小傾向が続くことを前提としているが、家族形態やライフスタイルの多様化により住宅に求める要素が変化するなかにおいて、耐震性能や耐久性に優れた低価格住宅の需要については引き続き堅調に推移するものと見ている。


こうしたなかで、現在の課題認識として注文住宅事業においては、各地域での販売シェアを高めていくこと、不動産事業では優良な分譲用地の仕入力強化を図ること、リフォーム事業では新設住宅引渡し後のお客様への提案を幅広く行い、収益性を高めていくことの3点を挙げている。
また、前中期経営計画「タマステップ2018」の基本方針であった「“面”の展開から“層”の拡大」も踏襲しながら、販売力をより一層強化していく方針としている。
年間の採用人員数では新卒者、中途採用者で各200~300名程度を継続して採用していく計画で、年間の純増数は100名程度を見込んでいる。


(3) 重点事業領域と主な施策
a) 注文住宅事業
注文住宅事業では各都道府県での着工戸数No.1を目指しており、そのために地域特性に合わせた販売戦略を立案し、実行していく計画となっている。
商品・価格戦略では、地域限定商品を戦略商品としてシェアを獲得していくほか、ZEH対応住宅や高付加価値商品の育成にも取り組むことで、層の拡大も図っていく。


また、販売体制強化の施策として空白エリアへの出店を進めていくほか、業務提携での販路拡大も視野に入れている。
現在、同社のエリア別着工戸数シェアでは九州や中国・四国など西日本エリアが相対的に高くなっている。
東日本エリアでの販売強化が課題ではあるが、最もシェアが高いエリアでも6%程度にしか過ぎず、すべてのエリアでシェアを拡大するチャンスがある。
3年後には関東エリアを除く地域でトップシェアを実現したい考えだ。


同社では集客施策としてマスメディアを使った広告戦略のほか、各種イベントの開催による集客施策を今後も積極的に推進していく方針だが、特に今後は商品・サービスの品質を全面的にアピールしていく戦略となっている。
品質面では同社標準仕様の住宅が、連続した震度7の地震に耐えられる耐震性能を持つことが実証されており、頑強な住宅であることを訴求していく。


b) 戸建分譲事業
戸建分譲事業では、都市部を中心に10区画以下の小規模分譲地を中心に仕入・販売を行うことで、資金回転率を高めながら事業規模を拡大と収益力向上を推進していく計画となっている。
また、現在既に手掛けている大規模分譲については販売促進により早期の完売を目指していく方針となっている。


c) リフォーム事業
リフォーム事業については同社が販売した住宅のうち10年を経過する住宅が今後も年間1万棟ペースで増加する見込みとなっており、これら住宅を中心に幅広いサービス提案をしていくことで収益を拡大していく計画となっている。
具体的には、5年経過時点で、省エネ対応商品の販売、10年経過時に保証期間の延長を目的とした有料の保証延長工事を提案する。
また、15年以上経過した住宅に対しては、水廻りを中心としたパッケージ商品の販売を提案していく。
その他にもリフォーム事業では中・大規模工事に対応できる体制を構築し、リノベーション、買取再販事業に展開していくことも視野に入れている。


d) マンション事業
新築分譲マンションについては、開発プロジェクトが一段落したことから当中期経営計画期間中での大きな売上伸長は見込めないことから、中古マンションのリノベーション再販事業を強化していく方針となっている。
消費者ニーズに合わせて1棟リノベーションや戸別リノベーションによる再販を展開していく。


e) オフィス事業
オフィス事業ではサブリース事業のほか、区分所有権販売事業の拡大を目指していく。
2013年から開始したサブリース事業については対応エリアを従来の都内主要5区※から、主要7区や関東主要都市部へと事業エリアを拡大していくことで新規受託案件を増やし、一段の成長を図っていく。


※主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)。



また、2017年より開始した区分所有権販売事業については、仕入エリアを都内主要5区とし、1棟当たり10~20億円程度の中小規模オフィスビルを仕入れて、バリューアップ後に投資用不動産として全国の不動産オーナーや法人へ販売していく。
また、実需として法人向けへの販売も行っていく。
当面は年間4棟分の仕入れを行い、早期完売できる体制を構築していく計画となっている。
販売チャネルとしては、金融機関からの顧客紹介のほかサブリース事業の顧客からの引き合いのほか、インターネット販売なども視野に入れている。


区分所有権販売については業界のパイオニアかつ最大手として(株)ボルテックスが知られているが、2018年3月期の売上高は566億円と直近5年間で約5倍に急成長を遂げており、区分所有権販売市場が急速に拡大してきたことがうかがえる。
都心のオフィスビル需要が伸び続けており、中古オフィスビルでも入居率が高く安定した利回りが得られることが人気の高さにつながっていると見られる。
都心部では新築のオフィスビルの供給も増加傾向にあり、2020年のオリンピック以降、需給バランスが崩れた場合は市場が冷え込むリスクがあるものの、人気エリアでの仕入を厳選することでリスクの軽減を図っていく。


f) その他事業
ホテル事業については羽田、大阪に次ぐ3番目のホテル開業を目指しているが、まだ具体的な計画はなく、当面は大阪の収益化に注力していく方針となっている。
金融事業については火災保険の更改契約の取り組みを強化するほか、生命保険等の他の商品の販売を強化することで事業規模の拡大を図っていく。


なお、海外事業についてはミャンマー、ベトナムで不動産関連事業を現地法人と共同で推進していく計画となっている。
このうちベトナムについては、CAD入力や図面作成等の設計支援業務を行う合弁会社を2017年8月に設立しており、注文住宅の受注増加に伴って繁忙感が増している国内での設計業務の一部を委託している。
現地で設計技術者を育成していくことで、国内での技術者不足といった課題を解消すると同時に、業務品質の向上と効率化を進めていく方針となっている。


■株主還元策

タマホーム (T:1419)は株主還元策として配当金と株主優待制度を導入している。
配当に関しては、将来の成長に向けて必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じて安定的な配当を継続していくことを基本方針としている。
2019年5月期は業績の拡大が見込まれることから、前期比15.0円増配の45.0円(配当性向56.4%)を予定している。

また、株主優待制度では、5月末、11月末の株主に対して、同社グループで利用可能な優待券の贈呈、同社特製QUOカードの贈呈(保有期間に応じて500円または1,000円)、または公益社団法人国土緑化推進機構が運営する 「緑の募金」への寄付の中から1つを選択する権利を付与している。
2018年8月1日の株価(1,037円)を基準に配当金と株主優待制度(QUOカードの場合)を合わせた単元当たり投資利回りで見れば、約5%の水準(3年以上継続保有で約6%)となる。



■情報セキュリティ対策
同社は情報セキュリティ対策として、ウイルス対策ソフトの導入を終えているほか、情報システムのクラウド化への移行についてもほぼ完了している。
今までサイバーテロの被害はないものの、その対策には引き続き取り組んでいる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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