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イデアインター Research Memo(4):21/6期に売上高21,000百万円、営業利益1,155百万円を目指す

発行済 2019-02-05 15:14
更新済 2019-02-05 15:21
© Reuters.  イデアインター Research Memo(4):21/6期に売上高21,000百万円、営業利益1,155百万円を目指す

■中期成長戦略1. 中期経営計画の概要イデアインターナショナル (T:3140)は毎年8月の本決算発表に合わせて向こう3ヶ年の中期経営計画を発表し、その実現に向けた各種施策の実施を通じて中長期的な持続的成長の実現を目指している。

2018年8月に発表された中期経営計画は、2018年6月期決算において過去最高の売上高、営業利益を達成したことや、2018年4月にシカタを子会社化したこと、2017年8月に資金調達を行い財務基盤の拡充を図ったこと等を踏まえて、これまでにない積極的な業績計画を掲げている。

具体的には、3ヶ年計画の初年度である2019年6月期は売上高14,000百万円、営業利益620百万円を計画している。

その後、収益性の改善や売上高の拡大に取り組み、最終年度の2021年6月期には売上高21,000百万円、営業利益1,155百万円を目指すとしている。

詳細は後述するが、2019年6月期はシカタのフル寄与により売上高は急増するものの、前期同様、自社ブランドの認知度向上のための先行投資的費用投下(広告宣伝費、販促費、EC関連投資等)を行うため、利益率は低めで推移する計画となっている。

2020年6月期はシカタとのシナジー効果として生産・流通の効率化によって利益率が改善することを見込んでいる。

最終年度の2021年6月期には、収益性を維持した上で、企画・開発面でのシナジーとして商品ラインアップを拡充し、売上を大きく伸ばすことを計画している。

販売面(販路)では、店舗網の拡大とEC強化を通じて小売事業の一段の強化を図ることが大きな目標として掲げられている。

しかしシカタはOEMで強みを持ち、また海外向けの卸売の拡大も見込まれることから、卸売事業の売上規模も相当な拡大が見込まれる状況にある。

その結果、小売事業と卸売事業の売上構成比は結果的には現在と変わらないということに落ち着く可能性もある。

1)商品戦略、2)営業・マーケティング戦略、3)成長投資及び財務戦略の3つの角度からアプローチ2. 成長戦略の全体像同社の成長戦略の骨格は従来から変更はない。

同社は自社の強みを商品開発力やデザイン力にあると認識する一方、課題としてブランド認知度と販売経路・販売力の一段の向上を挙げている。

こうした認識の上で、具体的な施策として1)商品戦略、2)営業・マーケティング戦略、3)成長投資及び財務戦略の3つの角度からアプローチして所期の中期業績目標の達成を目指している。

詳細は後述するが、同社が進める成長戦略はこれまで極めて順調に進捗している。

商品戦略では、主力3ブランドへの選択と集中と、各ブランド内での商品ラインナップの強化・拡充を図りBRUNOとMILESTOの2本柱体制が確立した。

営業・マーケティング戦略では、直営店舗の出店拡大策が順調に進捗し、かつて中期目標として掲げていた直営店舗55店舗体制の達成が視野に入ってきている。

また戦略的広告宣伝投資によるブランド認知度向上策が奏功し、EC売上高が急拡大中だ。

成長投資・財務戦略では、2017年6月期末の初配当実施、2017年8月の資本増強(公募増資)と順調にステップを重ね、2018年4月にはM&A(シカタの子会社化)を実施した。

ここからの3ヶ年で注目すべきポイントとしてまず挙げられるのは、シカタとのシナジー効果だろう。

シカタは女性用バッグのOEMメーカーとして国内トップクラスの実績を有している。

海外協力メーカーの活用や生産管理、流通などの点で同社本体の特にMILESTO(トラベルグッズ)事業においてシナジーが期待される。

また、国内における小売事業(直営店及びEC)の成長ペースと、海外展開(事業の性質としては卸売事業)にも注目だ。

過去数年間にわたり同社が取り組んできたブランド認知度向上の取り組みが、現在、ようやく開花期を迎え、今後の3年間は満開に向けて一段と拡大するステージにあると弊社では考えている。

「BRUNO」では家電商品やインテリア商材の充実で拡販を目指す。

「MILSTO」ではシカタとのシナジー追求がテーマ3. 商品戦略(1) BRUNO事業「BRUNO」はインテリア家電全般のブランドであるが、ホットプレートの大ヒットにより、まずキッチン家電が大きな成長を遂げた。

ホットプレートは2018年4月に累計販売台数が100万台を突破後も勢いは衰えず、2018年9月には126万台を突破するに至っている。

キッチン家電の分野ではホットプレートによってBRUNOブランドが確立したことで、グリルポット、トースターグリル、ホットサンドメーカーなどの販売も順調に拡大している。

今後は“BRUNOのある暮らし”をスローガンに、他の家電商品やインテリア商材の拡充に注力する計画だ。

家電新商品の第1弾としてマルチふとんドライヤーをリリースした。

また、1人暮らしの女性向けの新シリーズとして、ミニポットやミニトースターなど家電9SKU、雑貨30SKU以上から成る「マイリトルシリーズ」を2018年10月に発売した。

BRUNO事業については営業・マーケティング戦略の項で後述するように、海外での認知度、人気が急速に高まり、海外展開の核に成長してきた点も重要なポイントだ。

(2) MILESTO事業トラベル用品ブランドの「MILESTO」は、2018年6月期に年間売上高が10億円を突破し、BRUNOと並ぶメインブランドに成長した。

MILESTOの中において商品コンセプト別に複数のシリーズを展開しているが、“Hutte”やMILESTO UTILITY“など5つのシリーズが年間売上高1億円を突破し、内容的にも理想的な形での売上成長が続いている。

直近の動きとしては、主力シリーズの1つである“STLAKT(ストラクト)”を2018年8月にリニューアルした。

以来、単月販売点数が1,000店以上を達成しており、リニューアルが期待通りの成功を収めた状況にある。

また、2018年秋冬においては、“TROT(トロット)”シリーズから限定モデルを発売した。

MILESTO事業のもう1つの成長戦略はシカタとのシナジーの追求だ。

シカタの強みは中国、東南アジアの海外工場を活用しての生産力・製造技術にある。

シカタはバッグOEMのリーディング企業として年間300万個のバッグを生産している。

また創業49年という歴史の積み重ねで現地企業との信頼関係構築にも成功している。

シナジーは当面、2つの領域で実施されるとみられる。

1つはブランド価値の向上だ。

イデアインターナショナルの機能性やデザイン力をシカタに供給することでシカタのバッグブランド(「Y’saccs」)の価値向上を目指すことがまず挙げられる。

またMILESTOのバッグカテゴリをシカタで生産することで更なる品質向上を実現しブランド価値を上げる取り組み行っていくとみられる。

シナジー追求のもう1つの取り組みは、コスト・経費の削減とそれによる収益性の改善だ。

シカタは、調達(材料、資材、梱包材等)ネットワーク化によるコストダウンのノウハウを有している。

MILESTOのバックカテゴリの生産を、現在のサードパーティー(外部の第三者)からシカタへ切り替えることで、シカタの生産ノウハウによるコストダウンと、経営資源集中による経費削減を実現し、利益率向上を目指す考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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