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Jトラスト Research Memo(5):貸倒引当金の大幅積み増しにより、不確実性の払拭を図る

発行済 2019-03-06 15:15
更新済 2019-03-06 15:20
© Reuters.  Jトラスト Research Memo(5):貸倒引当金の大幅積み増しにより、不確実性の払拭を図る
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■業績動向1. 2019年3月期第3四半期の業績概要Jトラスト (T:8508)では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。

2019年3月期第3四半期には、Jトラスト銀行インドネシアにおいて貸出ポートフォリオの入れ替えによる貸出金の減少に伴い利息収益が減少したこと等により、営業収益は551億円(前年同期比3.1%減)となった。

また、同銀行において買収前からのレガシーを一掃するために、不良債権及び予備軍を一括処理し貸倒引当金115億円を計上したことや、現在係争中のJトラストアジアが保有するGLに対する債権の全額について貸倒引当金199億円を計上したこと等により、営業損失は297億円(前年同期は35億円の利益)となった。

さらに、ハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権の譲渡に伴う損失を計上したこと等により、親会社の所有者に帰属する四半期損失は327億円(前年同期は0.2億円の損失)であった。

大幅な赤字決算は、改めて日本企業が海外事業展開することの難しさを示す結果となった。

ただ、業績に関わる不確実性を完全に払拭することで、来期からの業績V字回復を目指すための下地作りを行うとの基本的な考え方のもと、事業ポートフォリオの徹底的な見直しを行った末の決断であった。

こうして、現時点で考え得る限りのリスクを前倒し計上することで、今後はパフォーマンスの改善により収益の急回復を目指す体勢が整ったと言えるだろう。

なお、同社グループは、前第4四半期連結会計期間においてアドアーズの全株式を譲渡し、当第3四半期連結会計期間にハイライツ・エンタテインメントの株式及び貸付債権を譲渡した。

IFRSでは、既に処分されたかまたは売却目的保有に分類されている企業の構成単位で独立の主要な事業分野を表すものについては、非継続事業として開示することとなるため、当該事業について非継続事業として分類し、それに伴い前年同期の数字も組み替えて表示している。

2. セグメント別の動向セグメント別では、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、非金融事業で利益を確保したが、東南アジア金融事業、投資事業が大幅損失を計上し、業績の足を引っ張った。

日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、債務保証残高の合計は2,005億円(前年同期比55.6%増)となった。

また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。

以上から、日本金融事業の営業収益は 73億円(同3.6%増)を計上し、セグメント利益は買取債権の将来キャッシュ・フローの見直しに伴い貸倒引当金の繰入れを行ったこと等により32億円(同5.6%減)となったものの、安定した高い利益水準を維持した。

韓国及びモンゴル金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出残高は企業向けを中心に増加し、2,851億円(前年同期比4.3%増)となった。

営業貸付金は有担保貸付や大企業向け貸付等が増加し、CCIの連結取込があったものの、債権回収や不良債権売却により616億円(同4.1%減)となった。

この結果、韓国及びモンゴル金融事業の営業収益は302億円(同12.9%増)、またセグメント利益は40億円(同29.2%増)となり、セグメント中最大の利益を上げた。

東南アジア金融事業では、長らくインドネシア預金保険機構の管理下にあったJトラスト銀行インドネシアにおいて、不良債権を前倒しで一括処理したことで、貸出金は770億円(前年同期比19.0%減)となった。

一方、JTOの連結取込により、営業貸付金は64億円(前年同期はゼロ)となった。

以上から、銀行業における貸出金減少に伴い利息収益が減少したこと等により、東南アジア金融事業の営業収益は94億円(同10.8%減)となった。

また、銀行において不良債権を一括処理したこと等により、セグメント損失143億円(前年同期は11億円の利益)を計上した。

投資事業は、前年同期にGL転換社債取消に伴う債権分類変更による収益計上した反動から、営業収益は9億円(前年同期比87.2%減)となり、セグメント損益は現在係争中のJトラストアジアが保有するGLに対する債権の全額について貸倒引当金繰入額を計上したこと等により減少し、200億円のセグメント損失(前年同期は27億円の損失)となった。

ハイライツ・エンタテインメントの売却決議に伴い前期実績が非継続事業に分類された結果、総合エンターテインメント事業、不動産事業を合算した非金融事業では、営業収益は50億円(前年同期比24.1%増)、セグメント利益0.2億円(同90.8%減)となった。

3. 財政状況と経営指標2019年3月期第3四半期末の資産合計は、前期末比177億円増の6,746億円になった。

これは主に、営業債権及びその他の債権、銀行における有価証券が増加したことなどによる。

一方、負債合計は、同574億円増の5,636億円になった。

これは主に、銀行業における預金、社債及び借入金が増加したことなどによる。

資本合計については、同397億円減の1,110億円となった。

これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期損失を計上したことに加えて、会計方針の変更による影響額等により利益剰余金が減少したことによるものである。

以上の結果、2019年3月期第3四半期末の親会社所有者帰属持分比率は15.5%であった。

資産合計が拡大した一方、資本合計が減少したことから、同比率は前期末の22.0%から低下したが、来期以降は利益の積み上げに伴い、改善に向かうと予想される。

2019年3月期第3四半期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比30億円増の877億円になった。

営業活動によるキャッシュ・フローの増加110億円は、主に税引前四半期損失計上の一方で、銀行業における預金の増加などにより資金が増加したためである。

投資活動によるキャッシュ・フローの減少111億円は、銀行業における有価証券の取得による支出が、銀行業における有価証券の売却による収入を上回ったことが主因である。

また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加29億円は、短期社債が減少した一方で、長期借入金が増加したことなどによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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