■今後の見通しJトラスト (T:8508)では、東南アジア金融事業及び投資事業で貸倒引当金を繰入れたことにより、2019年3月期第3四半期決算は大幅赤字となったことを受け、2019年3月期の業績予想を下方修正した。
すなわち、営業収益を前回予想の833億円から754億円に、営業利益も70億円の利益から327億円の損失に修正した。
営業収益については、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が好調に推移している一方、ハイライツ・エンタテインメントを非継続事業としたことや、東南アジア金融事業における貸付金残高減少に伴う利息収益の減収等の要因から、前回発表予想を下回る見込みだ。
さらに、東南アジア金融事業及び投資事業における損失計上により営業費用が増加したことに加え、東南アジア金融事業での収益力の低下により、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前回予想を大きく下回る見込みである。
なお、第3四半期実績に比べて赤字幅が拡大するのは、第4四半期においても東南アジア金融事業で保守的に追加引き当てを見込むためであり、今期中に必要な手当てをすべて完了するとの同社の決意を示すものと言えるだろう。
セグメント別には、日本金融事業では今後も信用保証業務は好調に推移し、債権回収業務も順調な回収が見込まれていることから、今期は44億円の利益(前期は41億円の利益)を見込んでいる。
韓国及びモンゴル金融事業では、法律・規制の変更に柔軟に対応し、貯蓄銀行業と債権回収事業のバランスを取りながら収益を順調に伸ばしており、今期も46億円の利益(前期は35億円の利益)を予想する。
一方、東南アジア金融事業では、今期は183億円の損失(前期は15億円の利益)を見込んでいるが、今後は銀行業で体制のスリム化・効率化を図り収支の改善を図るとともに、JTOとのシナジー効果等による業績回復を計画している。
また、投資事業でも今期は204億円の損失(前期28億円の損失)を見込んでいるが、今後は今回計上した貸倒引当金の戻入を実現する計画だ。
今期の決算で、現状想定できる限りのリスクに対して手当てを行うことで、来期からは業績の急回復を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)