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Jオイル Research Memo(7):高付加価値品とソリューションがカギ

発行済 2019-04-02 15:37
更新済 2019-04-02 15:41
© Reuters.  Jオイル Research Memo(7):高付加価値品とソリューションがカギ

■J-オイルミルズ (T:2613)の中期経営計画3. 成長戦略と構造改革(1) 油脂における高付加価値領域の拡大業務用において、機能油は導入顧客数や顧客当たりの購入量がまだ少なく、成長余地が大きいと思われる。

このため、利用シーンやニーズに合わせて本格的料理のおいしさを手軽に引き出す商品を拡充するとともに、顧客の持つ様々な課題を解消する提案を強化することで、機能油の販売拡大を推進する方針である。

同社が高付加価値品として投入している長持ち油「長調得徳®」は、通常のフライ油に比べて揚げ油が長持ちして経済的である。

「長調得徳®」は「TEE UP®製法PLUS+」により、油の着色を平均3割、粘度の上昇を平均1割、ニオイを平均2割、酸化の上昇を平均1割抑制するという特徴がある(同社調べ)。

使い込んでも泡立ちが少なくカラッと揚がり、厨房や店内も油の独特なニオイが抑えられる。

加えて、油の交換回数が削減されることから地球環境に優しく、ニオイが抑制されるため労働環境も改善する。

また、香味油シリーズやオリーブオイルブレンドシリーズ、バターオイルシリーズなど、調理や調味の機能によっておいしさを向上させる機能油も人気で、同社はバリエーションを拡張している。

素材を生かした自然で本格的な風味を手軽に加えることで、調理スキルに関わらずおいしさを均一化、調理時間を大幅に短縮、メニューの多様化を図ることができる。

このため、調理場の人手不足やスキルの維持などに課題の解消に貢献することから、更なるニーズの拡大が見込まれている。

家庭用油脂の市場は、ベーシックオイルが縮小する一方、オリーブオイルやごま油、プレミアムオイルが伸びている。

なかでもオリーブオイルは、日本に定着したマヨネーズやケチャップ、ソースなどと比べて購入世帯も購入回数もまだ少なく、成長余地が大きいと考えられている。

このため同社は、用途提案や健康訴求、情報接点の多様化によって使用の促進を進めている。

また、日本食に合う味の開発や高品質・安定供給の仕組み構築によって同社独自の価値を創出し、オリーブオイルの更なる市場拡大と同社シェアの向上を目指している。

業務用機能油の家庭用商品へのスイッチも進めており、人気上昇中のカテゴリーとなっている。

「AJINOMOTO®香り立つ花椒油」は、花椒の香りとしびれを閉じ込めた香味油で、花椒独特の華やかな香りとくせになるしびれを本格的に味わうことができる。

開けたての香りとしびれは鮮度キープボトルによって保たれるため、少量ずつ好みの量を使うことができる。

「AJINOMOTO®から揚げの日の油」は、自宅で専門店のようなから揚げが作れる専用油である。

鶏肉のコクとうま味を引き出す独自のブレンド油で、少ない油でも衣の食感を上手に仕上げることができる。

パッケージは、開封まで鮮度を守るフレッシュキープパウチを使っている。

このように業務用から家庭用への展開は、開拓余地の非常に大きなカテゴリーと考えられている。

(2) 育成領域における高付加価値品の拡大スターチは同社にとって育成領域になるが、スターチでは冷凍食品や加工食品、調理済み食品に配合するだけで出来立てのおいしさを再現できる独自商品の販売促進を強化している。

例えば、液体油脂とスターチを独自配当した油脂加工でん粉は、トンカツの豚肉とフライ衣の決着性を高めて食感を向上させることができるため、中食・外食産業で多く採用されている。

また、大豆粉とスターチ商品「アミロファイバー®」を独自配合することで低糖質と食感改良を両立、糖質に配慮したパンに採用されている。

(3) 高付加価値化を背景にソリューション事業を強化前述したように、同社の営業と技術を組み合わせ、同社の強みを掛け算し、さらに他社の技術を積極的に掛け合わることで、油脂や育成領域における高付加価値品を創出し、顧客の課題に対してスピーディーに解決策の提案することができる。

中期的にもこうしたソリューション事業を強化するとともに、顧客の向こうにいる消費者の不便の解決に対してもより突っ込んで提案していく考えである。

(4) アジアでの海外展開加速国内で磨いたおいしさや機能という独自の価値を、アジア市場の顧客へ提供していく方針である。

タイではJ-OILMILLS(THAILAND)Co.,LtdとSiam Starch (1966) Co., Ltd.の事業基盤を強化し、タイを中心にスターチや油脂のソリューション事業を展開する一方、ローコストオペレーションを確立する。

冷凍食品や畜肉、コンビニを中心とした日系顧客との連携を強化する一方、味の素海外法人のプラットフォームを活用して香港や中国、韓国向けの取り組みを拡大する。

また、アジア向け高付加価値油脂の開発も推進する考えである。

(5) バリューチェーンの構造改革これまでも効率化など構造改革を進めてきたが、成長戦略と歩調を合わせ、改めて調達から製造・加工、物流、販売に至るバリューチェーン全体を見直す方針である。

調達においては原材料や資材などに関して、各工場の購買機能を一元化するとともに他社との共同購買も推進する。

製造・加工においては各工場の機能を明確にし、需要に合わせた生産拠点の最適配置を検討する。

販売物流網においては配送モデルを再構築して、配送コストと在庫コストの最適化を図る。

販売では営業活動にITツールを活用するなど情報武装をするとともに、外部リソースも積極的かつ有効に活用する。

こうしたバリューチェーン改革によって、すべての業務プロセスにおいて徹底した生産性向上と効率化を図りコストを削減していく方針で、不採算・低採算品の見極めと終売、生産切り替え時のロスや廃棄の削減などを進める計画である。

なかでも生産拠点の最適化に関しては、複雑化する環境変化や多様化する顧客への対応強化という長期的視点から、経営資源の投下を、搾油や精製など従来の川上から、少ロット多品種ラインやIT・AIを活用した自動化技術、充填や包装といった川下へとシフトしていく考えである。

なお、原材料の購入など需給管理面からバリューチェーン改革を推進する、サプライチェーンコントロールセンターを2018年に発足している。

2021年3月期営業利益80億円以上を目指す4. 2021年3月期の数値目標と成長イメージ成長戦略と構造改革により、同社は2021年3月期に売上高2,150億円以上(年平均成長率5%以上)、営業利益80億円以上(同10%以上)、ROE5.0%以上を目指している。

売上高はミールの相場次第という面も少なからずあるが、高付加価値化などで原価の変動をある程度コントロールできるようになってきたため、営業利益とROEは是非とも達成したい数値である。

第五期中期経営計画の中で同社は、基盤整備や諸費用の増加を見込む一方、高付加価値品を売上高構成比で2016年12月期の22%から2021年12月期には25%、粗利益構成比を同32%から同40%へと拡大することで収益を改善させる方針である。

加えて、不採算商品や不採算事業の整理、棚卸資産の管理や保有投資有価証券などの見直しによって、目標の営業利益とROEを達成する考えである。

その際、育成領域と海外の貢献も期待が大きく、育成領域は売上高構成比で2016年12月期の8%から2021年12月期の12%、粗利益構成比で同11%から同15%、海外も売上高構成比で同0.2%から4%、粗利構成比で同0.3%から6%へと拡大する方針である。

中期的に「あぶら」の価値を究め自らの強みを伸ばしていくことで人々の心を動かすおいしさを創造し、「おいしさデザイン企業」を目指すわけだが、さらに将来的(2030年)には、油や食以外の領域や海外で事業を拡大することで、人々の生活を豊かにする「Joy for life」を実現することを目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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