日経平均は反落。
143.43円安の21659.16円(出来高概算5億9000万株)で前場の取引を終えている。
9日の米株式市場でNYダウは190ドル安と続落。
欧州連合(EU)の航空機大手エアバスへの補助金を巡りトランプ政権がEU製品への関税措置を検討していることや、国際通貨基金(IMF)による世界経済見通しの下方修正が嫌気された。
為替相場もリスク回避の動きから1ドル=111.10円近辺と前日に比べ円高方向に振れており、本日の日経平均はこうした流れを引き継ぎ222円安からスタート。
寄り付き直後には前場の安値を付けたが、下値では個人投資家などの押し目買いも入り下げ渋った。
東証1部の値下がり銘柄は全体の8割弱となっている。
個別では、前日買われたソニー (T:6758)が反落し、3%近い下落で前場を折り返した。
任天堂 (T:7974)、キーエンス (T:6861)、東エレク (T:8035)、NTTドコモ (T:9437)、ファナック (T:6954)も軟調。
ファナックなどは取引開始前に発表された2月機械受注の予想下振れが意識されたようだ。
政府の保有株売却が発表された日本郵政 (T:6178)は需給悪化懸念で売られた。
また、直近で株価上昇する場面のあったJDI (T:6740)や曙ブレーキ (T:7238)は売りがかさみ、東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、ソフトバンクG (T:9984)、楽天 (T:4755)、ファーストリテ (T:9983)などが堅調。
決算発表のあった小売株ではJフロント (T:3086)やイズミ (T:8273)が大きく買われた。
また、経営再建に向けたスポンサー候補との交渉について報じられたスルガ銀 (T:8358)が東証1部上昇率トップとなった。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、石油・石炭製品、鉱業、電気機器、建設業、その他金融業などが下落率上位だった。
米欧の通商問題が浮上してきたことや、世界経済の鈍化懸念が再び意識されたことで、日本株も欧米株に連れ安となっている。
このところ株価が上昇していた景気敏感株に利益確定の売りが出ているほか、内需・ディフェンシブ関連株も決算が好感された一部銘柄を除き売りが続く。
反面、積極的に売り込む動きは限られ、押し目買いの動きが下値の支えとなっている。
前引け時点の東証1部売買代金は1兆円弱で、売買活発とまでは言えないが前日(およそ9200億円)より増えている。
決算発表シーズンやゴールデンウィークの10連休を前に、売りにも買いにも傾きづらいところだろう。
長期投資家の参加はなお限定的で、短期筋の反対売買や個人投資家の押し目買いが中心の相場展開とみられる。
今週予定される安川電 (T:6506)や小売り企業などの決算が注目されるが、これらを通過した後も日替わり的な物色が続く可能性がありそうだ。
(小林大純)