■要約ブイキューブ (T:3681)は、離れた場所同士を映像と音声で結び、今まで移動して会わないとできなかったコミュニケーションを実現するビジュアルコミュニケーションサービスプロバイダー。
ユーザー目線に立った様々なニーズに対応する機能を備えた豊富なサービスラインアップによる品ぞろえでビジネスのあらゆるコミュニケーションをつなぐ環境を提供する。
2016年から取り組んだ改善施策によって利益の出やすい筋肉質な企業体質に生まれ変わり、2018年12月期はV字回復に成功した。
この社内の体質改善に加えて、働き方改革の流れ、テレワーク文化の広がり、という外部環境の追い風も吹いており、今後更なる活躍が期待される。
1. 事業概要Web会議やWebセミナーに代表される「V-CUBE」は国内外の法人企業、教育機関、官公庁など累計で5,000社以上の導入実績を有し、Web会議サービス(SaaS)市場の国内シェアNo.1の地位を盤石なものとしている。
「社会課題を解決するビジュアルコミュニケーションのプラットフォーム」という価値観を掲げ、日本の働き方改革市場にウエイトを置き、事業戦略を展開している。
2. 2018年12月期業績2018年12月期の全社業績は売上高7,960百万円(計画比100.8%、前期比119.9%)、営業利益345百万円(計画比104.5%、前期比896百万円増)、経常利益259百万円(計画比 103.6%、前期比826百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益456百万円(計画比95.0%、前期比3,492百万円増)となっている。
売上高はクラウド型を中心とした「V-CUBE」各サービスの積極的な推進に加え、オンプレミスやアプライアンスの大口案件があったことで、売上高は前期から約2割の増加となった。
一方で、オンプレミス型、アプライアンス型サービス売上増加に伴い仕入原価が増加したが、前期に行った構造改革の効果により、販売費及び一般管理費は前期比で約12%減少し、営業利益は前期の営業損失から約9億増加し、黒字転換を果たした。
また、外部委託システム障害対応費用等の特別損失が発生したものの、電子黒板サービス事業の売却による事業譲渡益453百万円を特別利益として計上したため、最終利益は大幅な黒字となった。
3. 今後の見通し2019年12月期は、売上高は電子黒板サービス事業の売却と新収益認識基準の適用により前期比で減少する見込みだ。
一方では製薬系の顧客向けのオンラインセミナーの需要が底堅く、テレワークのツールとしてWeb会議が採用されることから着実な成長を織り込んでいる。
加えて、ノンコア事業である電子黒板事業の売却や、販売費及び一般管理費の減少により、営業利益の増加を見込んでいる。
これらのことから2019年12月期は、売上高6,497百万円(前期比81.6%)、営業利益345百万円(前期比100.0%)、経常利益 283百万円(前期比109.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益717百万円(前期比157.2%)を見込んでいる。
なお、2019年12月期第1四半期の全社業績は、売上高1,715百万円(前年同期比13百万円減)、営業利益28百万円(同14百万円増)、経常損失5百万円(前年同期は66百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失5百万円(同105百万円の損失)となっている。
売上面では、電子黒板サービス事業の売却等があったものの、ビジュアルコミュニケーション事業が堅調に推移した。
また、利益面では、人件費等固定費が減少した。
同社では2017年12月期に取り組んだ構造改革が奏功し、V字回復に成功した。
また、電子黒板事業の売却に加え、2019年4月に行ったアイスタディ (T:2345)の株式売却などもあり、投資ができる可能性も整った。
今後は、働き方改革やテレワークの推進、不動産取引での重要事項説明時の対面原則の遠隔対面化など規制緩和の流れに乗り、各業界でのプラットフォーム提供を強化する。
一例としては「テレキューブ」が消防法などの課題を解消し、オフィス家具大手のオカムラ (T:7994)との提携による企業向け販売の増加、JR東日本 (T:9020)・三菱地所 (T:8802)・森ビル(株)などの保持する公共空間への設置の本格化、などが挙げられる。
このように、市場が現在進行形で伸びているレッドオーシャン市場と、競合が少なく高付加価値提供が可能で今後の伸びが見込まれるブルーオーシャン市場、それぞれの市場に合った戦略を使い分け、2020年には上場来最高の営業利益9億円を目指す。
■Key Points・2018年12月期はV字回復に成功し計画以上の業績達成・2019年12月期は事業譲渡により減収も体質強化で利益率向上・レッドオーシャン戦略・ブルーオーシャン戦略を使い分け2020年には過去最高業績を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)