■要約1. 事業領域ODKソリューションズ (T:3839)は、機密性の高いデータの大量処理に強みを持つ独立系ITサービス会社。
大学入試業務をはじめとする教育関連サービスと、証券会社等のバックオフィス業務をサポートする金融関連サービスを提供する。
直近では強みを生かして医療やAI、カスタマーサクセスといった新たな領域にも進出し始めている。
2019年の入試では、約123万人の志願者データを処理、12期連続して大学入試センター試験の志願者数を上回る処理実績を有し、民間企業でシェアトップ。
学校法人、証券会社をはじめとした金融機関、一般事業会社等に対するシステム運用、システム開発及び保守と機械販売の3事業を手掛ける。
業務別では、教育業務、証券・ほふり業務、一般業務、金融業務の4業務の分類としていたが、2019年3月期で金融業務が終了した。
同社の主力は、教育業務と証券・ほふり業務。
医療領域と新規ビジネス領域が含まれる一般業務を第3の成長ドライバーとしている。
2. 業績動向2019年3月期連結決算は、売上高は5,337百万円で前期比9.0%増、営業利益は571百万円で同56.1%増、経常利益は613百万円で同58.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は307百万円で同18.9%増であった。
増収要因は、金融業務の終了等があった一方で、教育業務における新規受託や処理件数増、証券総合システム 『SENS21』の新規ユーザー運用開始、臨床事業にかかるシステム開発・運用業務等が順調に拡大したこと等による。
5期連続増収・3期連続増益で、事業拡大傾向がさらに鮮明になってきた。
2020年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比3.0%増の5,500百万円、営業利益は同24.7%減の430百万円、経常利益は同26.6%減の450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同0.8%増の310百万円の計画になっている。
増収ながら営業・経常減益になる要因は、1)2019年3月期にシステム運用業務において顧客データ移管の臨時対応に伴う一時的な収益計上があったこと、2)金融業務(日本証券金融 (T:8511)向け業務)の終了等などである。
しかし、想定外の大きな減益要因が発生しない限りは、上記減益要因を除いておおむね前期と同等以上の利益水準は確保できるものと弊社では想定している。
3. 中期経営計画同社は、2019年3月期実績の状況を踏まえて経営環境変化に対応し、前年の中期経営計画を見直し、ロールオーバーした新中期経営計画(2020年3月期−2022年3月期)を公表した。
それによると、最終年度である2022年3月期の経営目標値(単体)は売上高・利益ともに過去最高となる、売上高7,000百万円、経常利益700百万円、配当が年10円の安定配当を堅持、としている。
目標「ODKを次のステージへ」、及び基本方針については前年と同様。
基本戦略と重点課題が一部見直しされた。
総じて、新たな事業成長ステージに向けて、既存事業の収益性の更なる向上と新規事業を将来の中核事業へと成長促進を図る段階へ移行する、そのための組織力を向上させる、という意味合いに考えられる。
■Key Points・2019年3月期は5期連続増収・3期連続増益、新たな成長ステージへ・積極的なアライアンス・M&A等で、医療領域・AI等の新規事業・サービスに注力・2020年3月期も主力業務の拡大で増収(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)