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KADOKAWA Research Memo(5):電子書籍・雑誌や海外向けライセンス収入が好調

発行済 2019-07-05 15:35
更新済 2019-07-05 15:41
© Reuters.  KADOKAWA Research Memo(5):電子書籍・雑誌や海外向けライセンス収入が好調
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■KADOKAWA (T:9468)の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) 出版事業出版事業の売上高は前期比2.9%増の115,958百万円、営業利益は同20.9%増の7,253百万円となり、2期ぶりの増益に転じた。

主に、電子書籍・電子雑誌販売が前期比増収増益と好調を持続したほか、権利販売で遊技機向けの商品化許諾権収入が増加したことも増益に寄与した。

電子書籍・電子雑誌事業は好調に推移した。

同社グループで展開する総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」の売上げはコミックを中心に前期比46%増となったほか、外販事業も新たな外部電子書籍ストアに販売許諾を開始したこともあり、同45%増と好調に推移した。

特に、「BOOK☆WALKER」に関しては8周年記念キャンペーンの実施や、2019年9月に「ニコニコ書籍」アプリと統合したことで作品の品ぞろえが拡大し、MAU(月間アクティブユーザー)の増加とともに1ユーザー当たり購入金額も上昇したことが売上好調の要因となった。

また、海外市場向けの「BOOK☆WALKER Global」や「台湾BOOK☆WALKER」も高成長を維持した。

なお、出版事業における電子書籍・電子出版の売上構成比は25%前後の水準となっている。

書籍事業では、コミックスで「よつばと!」「ダンジョン飯」といった大型作品や「盾の勇者の成り上がり」「オーバーロード」シリーズが好調に推移し、ライトノベルも「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」など人気シリーズが堅調に推移した。

一般書では小学生向けの学習まんがが収益貢献し、一般文庫では「ラプラスの魔女」「君は月夜に光り輝く」といった映画化作品の原作本や「過ぎ去りし王国の城」が好調に推移した。

利益面では、前期の水準が高かったことに加えて年度後半にかけて返品業務にかかる運賃負担が上昇したことなどが減益要因となった。

なお、2020年度中の本格稼働を予定している所沢の製造・物流拠点については工場建設やシステム整備がスケジュールどおり進捗しており、一部の文庫やライトノベルでデジタル印刷による商業生産をしている。

雑誌事業にはWebメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を進めている段階で、Webサイトのページビューや広告収入については増加している。

また、雑誌販売数は減少が続いているものの実売率は改善傾向にあり、収支は好転の兆しを見せ始めている。

(2) 映像・ゲーム事業映像・ゲーム事業の売上高は前期比1.8%増の48,295百万円、営業利益は同36.4%増の3,919百万円となった。

映像事業は「STEINS;GATEゼロ」「殺戮の天使」等の海外ライセンス販売が好調だったほか、アニメの配信収入や商品化権許諾収入の拡大、(株)ムービーウォーカーで展開する劇場前売券サービス「ムビチケ」の成長もあり好調を維持している。

ゲーム事業は3月22日に世界同時発売となった「SEKIRO」が発売10日間で200万本を超えるヒットとなり収益に大きく貢献したほか、「DARK SOULS REMASTERED」が国内外で好調を持続し、海外ロイヤリティ収入も増加した。

ドワンゴが2018年11月に提供開始した位置情報ゲーム「テクテクテクテク」は収益貢献が期待値を大きく下回ったことから、アプリ開発費を一括費用計上するとともに2019年6月でサービスを終了することを決定している。

これらドワンゴのゲーム事業だけで見ると約11億円の営業損失となっている。

(3) Webサービス事業Webサービス事業の売上高は前期比10.9%減の25,848百万円、営業損失は2,576百万円(前期は1,067百万円の営業損失)となった。

ポータル事業は、主な収入源である「niconico」の有料プレミアム会員数が2019年3月期末で180万人と前期末比27万人の減少となったことで約20億円の減収要因になったと見られる。

前期から取り組んできたネットワークインフラの改善施策により通信費等が減少したものの、前述した「テクテクテクテク」で積極的なプロモーションを行ったことや、事業見直し・事業撤退にかかる費用を計上したことが営業損失の拡大要因となった。

「nicocas」による「ギフト」(投げ銭機能)サービスについても、ユーザーに浸透するにはもう少し時間を要するとみられる。

ライブ事業は、競合する他の動画サービスとの差別化を図るため「ネットとリアルの融合」をテーマに各種イベントを継続して行っており、2018年4月に開催した「ニコニコ超会議2018」では会場来場者数が16.1万人(前年は15.4万人)と過去最高を記録したほか、2018年8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2018 “OK!”」でも前年と同様8.1万人を集客した。

ライブ事業は従来、「niconico」のブランド力強化のための広告宣伝的な位置付けであったものの、今後は各イベントの収益性も考慮しながら展開していく方針に転換している。

モバイル事業は、音楽配信サービスの「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」の会員数減少により減収減益が続いているものの、固定費削減も同時に進めており、収益性は維持している。

(4) その他事業その他事業の売上高は前期比6.3%増の22,143百万円、営業損失は2,613百万円(前期は1,356百万円の営業損失)となった。

売上高は、インターネットを活用した通信高校「N高等学校」やクリエイティブ分野に特化した専門スクールの生徒数が順調に拡大したことに加えて、キャラクター商品やアイドルCDのeコマース等の物販事業が伸長したことで増収となったが、2020年度を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用の増加等が営業損失の拡大要因となった。

なお、学校法人角川ドワンゴ学園の「N高等学校」の生徒数は2018年4月時点の約7千人から2019年4月時点で約1万人と急拡大している。

2018年4月に東京(御茶ノ水)、大宮、横浜、千葉、名古屋、福岡の6拠点に通学コースのキャンパスをオープンし合計8拠点に拡大したことや、在校生であるフィギュアスケート選手の紀平梨花(きひらりか)選手の活躍により、認知度が向上したことが大きい。

従来は、通学していた高校を退学して通信高校に再入学するケースが多かったが、「N高等学校」は自ら進んで入学する生徒が増加していると言う。

時間の束縛がない通信制高校のメリットが改めて認知され、保護者の理解度も深まったことが背景にあると見られる。

2019年4月には新たに仙台、立川、柏、京都、江坂の5拠点に新キャンパスをオープンし、更なる生徒数の拡大が見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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