[ニューヨーク 6日 ロイター] - 報酬コンサルティング会社ジョンソン・アソシエーツは、ウォール街(米金融街)で働く人々の今年の報酬は横ばいか減少すると予想する報告書を発表した。大手銀行や資産運用会社が経費削減を続けていることが背景。
報告書によると、最も打撃を受けるのが株式取引や引受業務で、年間報酬は10─15%減少する見通し。債券トレーダーや資産運用業務は横ばい─5%の削減、取引仲介業務やプライベート・バンキングは横ばいと予想されている。
米金融業界の雇用市場は、市場混乱と景気後退への対応を強いられた2008年の金融危機以来、概して引き締まった。しかし現在は、景気が好調でも報酬が下がるという奇妙な力学が働いていると、ジョンソン・アソシエーツのアラン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は指摘する。
「これは転換点のようなものだ。以前は『AUM(運用資産が)が拡大し、市場が上昇していれば大丈夫』だったが今は違う」という。
金融業界で働く人々の報酬は、競争激化と自動化の波による圧力を受けている。ジョンソン氏は一例として、株価指数な。。うyどのベンチマークと同じような動きをするよう設計されたインデックス・ファンドを挙げた。同ファンドはコストが低めで、運用担当者が扱うファンドよりもパフォーマンスが良いとされる。投資家がコストの低さを求めるに伴い、各社は人員を削減し、賃金を抑制している。
こうした動きは、金融各社の四半期決算にも反映されている。
モルガン・スタンレー (N:MS)の2019年上半期の報酬関連費用は、前年同期比13%減少。ゴールドマン・サックス・グループ (N:GS)は12%減少、JPモルガン・チェース (N:JPM)は2%減少した。
ジョンソン・アソシエーツの報告は、16社の大手銀行と資産運用会社への調査に基づいている。
報酬が上がる可能性があるのは、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、伝統的な融資部門だけで、横ばい─5%上昇する可能性があるという。